5分で分かる、今週のモバイル事情:6月23日〜6月29日
総務省が2010年をめどに、モバイルビジネスのあり方を段階的に見直すという方針案を発表。料金体系の見直し案や、SIMロック解除に向けた施策が盛り込まれた。
段階的な是正でモバイルビジネスを変える──総務省がモバイルビジネス見直し案発表
総務省が6月26日、モバイルビジネスの活性化に向けた施策方針案を発表した(6月27日の記事参照)。総務省主催のモバイルビジネス研究会による7回の討議を経て発表されたもので、料金体系の見直し案や、SIMロック解除に向けた取り組みが盛り込まれた(6月27日の記事参照)。
料金体系の見直し策として挙げられたのは、(1)通信料金と端末価格を分離して請求する「分離プラン」(2)利用期間を担保したうえで、端末価格や通信料金を設定する「利用期間付き契約」 の導入。SIMロックの解除については「第1フェーズと第2フェーズに分けて考えることが適当」とし、今後の端末市場の動向などを考慮して2010年の段階で最終的な方向性を導き出すよう提案している。
これらの施策を通して総務省は、オープン型のモバイルビジネス環境を構築したい考え。これにより、ユーザーには(1)ネットワークの別を問わず、自由に端末を接続して利用できる(2)端末に自由にアプリケーションなどを搭載して、利用者が希望するサービスを自由に選択できる(3)端末、通信サービス、コンテンツ等のそれぞれの価格や料金が利用者に分かりやすく提示される という環境がもたらされるとした。
端末の不具合が続出
今週は端末の不具合がいくつか報告された。6月27日には、KDDIがauの東芝製端末「W53T」の不具合を報告(6月27日の記事参照)。開閉を繰り返し行うとヒンジが緩み、閉じた状態や開いた状態を維持できなくなるというもので、対象台数は5万2800台にのぼる。KDDIは7月中旬から改修済み製品との無償交換を開始する。
6月29日にはイー・モバイルのデータ端末「D01HW」に不具合があることが分かり(6月27日の記事参照)、同社はD01NE/D01NXへの無償変更または無償解約に応じるとした。なお、Macintosh環境で起こる不具合については、同日公開された改良ソフトウェアで解決するという。
6月29日には、ドコモ初のAQUOSケータイ「SH903iTV」の不具合が発覚。予約録画を正常に行えないという不具合で、ドコモが端末/ネットワークの両面から原因を究明中。準備が整い次第、対応策を発表するとした(6月29日の記事参照)。
新端末、新サービスも続々
新端末の動向で注目なのが、29日から始まった「Advanced/W-ZERO3[es]」の予約受付開始。秋葉原の量販店には約200人が行列するなど、注目度の高さがうかがえた(6月29日の記事参照)。
ビックカメラ有楽町店で挨拶に立ったウィルコムの喜久川政樹社長は、「12年近くPHSに関わってきたが、これまでの端末の中で“アドエス”は最も心に響く端末。発表からバグのチェックを兼ねて使っているが、アドエスのよさを日増しに実感している」と自信を見せた。
気になる生産体制については、W-ZERO3やW-ZERO3[es]の時のような在庫不足が発生しない体制を整えたといい、できるだけ早く10万台を突破するのがファーストステップになる。
新サービスについては、ドコモが6月26日に新たな割引サービス「ファミ割MAX」「ひとりでも割引」を導入すると発表した(6月26日の記事参照)。
ファミ割MAXはファミリー割引を組んでいるメンバーの中で、最も長くドコモと契約している人の割引率がメンバー全員に適用されるもの。家族の中に10年以上ドコモと契約している人がいる場合、ファミ割MAXに加入することで、ほかの家族の料金も加入10年以上の割引率が適用される。
ひとりでも割引は、auの「MY割」やソフトバンクモバイルの「自分割引」(オレンジプランの割引サービス)のいわばドコモ版。ファミリー割引を組む相手がいない人でも利用年数に応じて基本利用料が割り引かれ、最大で50%の割引になる(6月26日の記事参照)。
ドコモの中村社長は、6月20日から料金の新システムが稼働しているといい、新たな割引プランはシステムの一新によって実現したと説明。「誰が一番長く契約しているかを確認し、それに対応するのは旧システムではできなかった」と自信を見せた。
ブループラン/オレンジプランの発表時に「他キャリアが追従したり、対抗値下げした場合は、24時間以内にさらなる値下げを発表する」と公約しているソフトバンクモバイルは、ドコモの発表から約5時間後に対抗策の「家族割引MAX」と「自分割引(ブループラン)」を発表。ユーザーへの約束を守った(6月26日の記事参照)。
6月29日、いよいよ「iPhone」が登場
6月29日、いよいよ米Appleの「iPhone」が店頭に並ぶ(6月28日の記事参照)。iPhoneがニューヨークで発売開始となる米国東海岸時間の29日午後6時は、日本の30日午前8時頃。この頃から、全米のブロガーらによる購入リポートがWebに一斉に上がると予想される。
米国ではすでに並び始める人も現れ、Appleの直営店には巨大なiPhoneのオブジェが登場。iPhoneの検索件数は4週間で583%アップした(6月27日の記事参照)。より多くの人に行き渡るようにするためか、購入は先着順で1人2台までとなっている(6月29日の記事参照)。
なお国内では、3G版のiPhoneにドコモが関心を示していると見られる。
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