ケータイカメラは、どこまで“EXILIM”の画質に迫るか──「EXILIMケータイ W53CA」:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(5/5 ページ)
“EXILIM”の名を冠し、2007年夏モデルで最高クラスのカメラ機能を備えるカシオ計算機製のデジカメケータイ「EXILIMケータイ W53CA」。では、その写りはどこまで“EXILIM”なのか。同社製の“本職”デジカメとの作例比較も含め、その画質と使い勝手を深くチェックしていく。
次は、機能面の注目ポイントをいくつかチェックしていこう。
まずは豊富なシーンモードを用意する、EXILIMでおなじみの「ベストショット」。さらに撮影モードの中にある「ビジネスショット」と「オートブラケット」「ナイトビジョン」だ。
ビジネスショットは、撮影した写真から矩形部分を切り出して遠近を補正し、矩形画像にしてくれる機能だ。ホワイトボードや書類、名刺、案内板などを画像メモとして撮るときに便利である。
オートブラケット(AEB:自動段階露光)は、露出設定を変えながら超高速に3枚撮ってくれる、普通のデジカメではおなじみの機能。撮影後、あとから一番いいものを選べるのが便利だ。ただし、これを有効にすると高速に連写するため、画像サイズが1Mになる。
ナイトビジョンは、複数の画素を1つにまとめることで感度を上げて記録できる機能。画素をまとめるためにこちらも画像サイズは1Mに下がるが、その分感度が上がり、暗い場所でもシャッタースピードを速くできるメリットがある。この効果は前ページを参照願いたい。
写真の再生は、いつもの携帯のようにメニューからデータフォルダをたどる方法のほかに、ビューワースタイルにして“EXILIMメニュー”からアルバムを選ぶことでも行える(カメラ機能から「アルバム」を選んでもよい)。
前者は数あるデータフォルダの中から写真用フォルダを選んで表示するというごくポピュラーなもの。後者は写真再生専用のモードとなり、自動的に写真用のフォルダが表示される。シンプルにフルスクリーンで写真を再生できる。写真データをコピーしたり縮小、待受画面などに登録といった編集を行う場合はデータフォルダから行い、単に撮影した写真を鑑賞したい場合は、やはり「アルバム機能」から行うとスマートだ。
さて、5Mサイズの写真ともなると表示にもそれなりの時間がかかるが、本機は、まずサムネイルを拡大表示して(つまり粗い画像を表示して)から、本データを読み込むという2段階で表示することで、体感速度を上げる工夫がある。このため表示が遅くてイライラするほどではない。
以上、写真機能だけを見てきたが、このほかにも端末を拡大鏡として使う「モバイルーペ」機能や文字認識を行う「テキストリーダー」機能、QVGAサイズでなかなかきれいに撮れる動画撮影機能も搭載する。
操作系に一部要望はあるものの、総じて楽しい魅力的な端末
使ってみて感じたのは、EXILIMケータイ W53CAは“EXILIM”(ビューワースタイル時)と、携帯カメラ(つまり縦位置スタイル)の2つの顔を持っているなぁということ。“EXILIM”モード時はやはり普通のデジカメっぽい感覚で楽しく使えるし、画面デザインもそれっぽい。一方の携帯カメラモード時はいつものケータイのカメラの延長として使える。
であれば、両者を明確に分けてしまって、“EXILIM”モード時はメニュー構成も独立させてもよかったのではないだろうかと思う。やはり、ケータイスタイル時とビューワースタイル時では優先される機能も項目も違うだろうから。
そのほか、あえて言えばあと2つ要望がある。
1つは“EXILIM”なら、ISO感度をマニュアル設定できるようにしてほしかった。
そして、写真の縦位置と横位置の関係。従来通り、VGAサイズ以上は横位置での撮影になるわけだが、ディスプレイがワイドVGA解像度になったため、「ワイドVGA壁紙」サイズも画像が横位置に記録されてしまう。それを携帯の待受画面にする場合は、まず回転させて(FIT機能を使う)から登録しなければならない。例えば撮影時に縦横を選べるとか、内部にコンパスセンサーを備えるとか、縦向きのケータイスタイル時は縦位置で、ビューワースタイル時は横位置で記録する向きを変えるとか、もうひと工夫がほしかった。
でも、その辺は今後への要望という感じ。
現時点で、カメラ機能としての画質や快適さはさすがに“EXILIM”と名が付くだけの完成度はあるといえる。28ミリ広角というレンズスペックもうれしいし、これを1Mモードで使い、その分デジタルズームで広角も標準も楽しむのも一興かと思う。
撮った写真をワイドVGAの大型ディスプレイで見るとやはりきれいだし、撮影感覚も気持ちいい。携帯カメラをよく使う人や、気軽なスナップ写真を携帯でばんばん撮りたい人は買って損なし。とても使っていて楽しい、魅力的な端末だ。
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