公式サイトや勝手サイトに新たな収入源を──モバイル版コンテンツ向けAdSenseの可能性
コンテンツの内容に合った広告を自動で表示──。グーグルがPC向け広告配信で実績がある「コンテンツ向けAdSense」を携帯向けにも提供する。同社のラーゲリン氏は、公式サイトや勝手サイトの新たな収入源になると話す。
公式サイトの課金モデルだけでなく、一般サイトにもビジネスチャンスが生まれる──。こんなビジョンを掲げ、グーグルがモバイル版コンテンツ向けAdSenseの提供を開始する。
コンテンツ向けAdSenseは、サイトのコンテンツ内容に合った広告を自動で配信するグーグルの広告サービス。サイト運営者にとっては規模の大小にかかわらず登録できることや手軽に導入できる点、広告主にとってはよりターゲットに近いところに広告を出せる点などが注目を集め、PCサイト向け広告としてはすでに定着している。
モバイル版コンテンツ向けAdSenseの提供を開始する理由について、グーグルのストラテジック パートナー デベロップメント マネージャー、ジョン・ラーゲリン氏は、KDDIと連携して提供を開始した検索連動型広告が順調な伸びを見せ、携帯広告のポテンシャルが見えてきたこと、広告主やサイト運営者からの要望が増えてきたこと、勝手サイトと呼ばれる非公式サイトへのアクセスが増加している点などを挙げる。
これまでの携帯サイトは、月額課金や従量課金などをベースにビジネスモデルを構築するのが主流となっていたが、モバイル版コンテンツ向けAdSenseを導入することで、新たな収入源を獲得できるとラーゲリン氏。広告収入モデルで課金だけに頼らずサイトを運営できるようになれば、コンテンツを無料配信するようなモデルも可能になり、これはユーザーにとってメリットになるとラーゲリン氏は説明する。
「サイト運営者にとっては、勝手サイト・公式サイトにかかわらず新たな収入源になり、ユーザーは課金モデルではないサイトで面白いコンテンツが見られるようになる。広告主は検索以外でもユーザーにリーチできることに加え、ニッチなサイトにも広告を表示できるようになるのでタッチポイントが増える」(ラーゲリン氏)
PC版と携帯版の違いは、表示される広告の数や文字数、広告主がサイトを決めて配信する「サイトターゲティング」に対応していない点など。PCと携帯の両対応になることから、広告主が携帯向けサイトも用意する必要があるが、これはグーグルが提供するモバイルビジネスページで作成可能で、ほかにも広告のリンクからPhone toで電話をかけるようにもできるという。ただ、サイト運営者が携帯からはAdSenseに登録できないなどの課題もあり、ラーゲリン氏は日本市場の動向に最適化する方向で検討するとした。
携帯業界では、すでにいくつかのサービスプロバイダーがコンテンツ連動型広告を導入し始めている。競合他社に対するグーグルの強みについてラーゲリン氏は、PC版の導入で蓄積したクローラー技術のスピードや精度を挙げる。またPC版の広告主ならツールから容易に携帯向け広告を配信できる点も付け加えた。
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