PANTONEケータイ「812SH」が「Design for Asia Award」の大賞に
アジアの優れたデザインプロダクトに贈られる「Design for Asia Award」の大賞に、ソフトバンクモバイルのPANTONEケータイ「812SH」が輝いた。これまでにない20色のカラーバリエーションを揃えたことに加え、広告戦略やディスプレイの工夫などが評価された。
2007年12月10日から15日まで、香港の「香港コンベンション&エキシビション・センター」でデザイン産業の総合イベント祭典「Business of Design Week 2007」が開催された。アジアの優れたデザインプロダクトに贈られる「Design for Asia Award」の授賞式と作品展示も行われ、大賞を受賞したソフトバンクモバイルの“PANTONEケータイ”こと「812SH」も披露された。
今年で5回目となるDesign for Asia Awardは、アジアならではの優れたデザインの製品に贈られるもので、香港デザインセンターが主催している。大賞の選定にあたっては、デザイン性に加え、“アジアの文化を表現しているか”“ビジネス的に成功を収めたか”が重視される。今年はアジアだけではなく、全世界から約600の作品がノミネートされ、建築物や店舗デザイン、ファッションやIT製品など幅広い分野のエントリーから10の作品が2007年の大賞に選ばれた。日本からはソニーのPCMレコーダー「PCM-D1」、ユニクロの「UT STORE HARAJYUKU」など5作品が選ばれ、ソフトバンクの812SHも大賞を受賞した。
812SHの受賞理由は、PANTONEブランドを採用した20色のカラー展開や、広告にキャメロンディアスを起用するなどの話題性作りで、ソフトバンクの知名度を大きく向上させた点にある。また、ショップ店頭での統一したカラーコーディネートによるディスプレイ手法など、マーケティング面でのデザイン戦略も高い評価を受けた。さらに、こうした施策が同社の新規契約数をトップに押し上げる要因の1つとなったことも評価につながった。
審査員を務める香港インテリアデザイン協会のケリー・チェン氏は「ただ20色の携帯電話を販売しただけでは、ここまでの成功を収められなかった。PANTONEとコラボレーションにより、人々は自分がデザイナーになった気分で自分の好きな色を選ぶことができる。これによりユーザーは、携帯電話という最も身近な製品を通じて、自分の魅力や自信をより引き出すことができる」とコメントしている。
展示会場の812SHのブースには、20色の端末モックが並び、豊富なカラーバリエーションと色見本のような展示スタイルが多くの来場者の注目を集めた。ショーケース内には開いた状態のモックも展示され、内側のダイヤルキー部分や待ち受け画面まで同じ色で統一されたこだわりに来場者が驚く姿も見受けられた。
イベントに参加した香港の携帯ユーザーからも、発売を熱望する声が聞かれるなど、海外での反響も上々な812SH。香港でもシャープ製端末が店頭に並んでいるが、PANTONEケータイほどの個性が感じられないのが残念だ。
「20色ものカラーで展開するという発想は、さすが日本企業という感じがする。海外と同じW-CDMA/GSM方式なのだから、このまま売り出しても成功するのではないか」(30代の男性、デザイナー)。海外で存在感が薄いといわれる日本の携帯電話だが、812SHのように海外で高い評価を受ける端末が出てきたことは、日本の端末メーカーにとって明るいニュースとなりそうだ。
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