「新サービス、新端末の投入で、インターネットを再定義する」――NokiaのカラスブオCEO:Mobile World Congress 2008
スペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2008で、Nokiaが新端末と新サービスを発表。携帯電話のPC化が加速する中、新サービスの投入で「インターネットを再定義する」と自信を見せた。
Nokiaは2月11日、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2008」で「Nokia N95」の後継となる「Nokia N96」などの新モデル4機種と2つの新サービスを発表した。同社のCEO、オリペッカ・カラスブオ(Olli-Pekka Kallasvuo)氏は「インターネットを再定義する」と述べ、加速するモバイルインターネット業界の競争に向けた新たな戦略を打ち出した。
新サービスとして発表したのは、地図サービスの最新版となる「Nokia Maps 2.0」β版と、インターネットブランド「Ovi」で展開するSNS「Share on Ovi」の2つだ。
徒歩ナビをサポート――Nokia Maps 2.0
地図/ナビゲーションサービスは、Nokiaが買収を通じて2年前から力を入れている分野だ。GPSモジュールの統合と「Nokia Maps」のバンドルで地図サービスを、カメラや音楽に次ぐアプリケーションにすることを目指す。GPS端末市場は2005年から急速に拡大しており、自社のGPS搭載機「N95」は大成功しているとカラスブオ氏。2008年のGPS搭載端末の目標販売台数は、2007年のGPS専用端末の出荷高数と同じ3500万台とした。
Nokia Maps 2.0の最大の特徴は、歩行者ナビゲーション機能に対応した点だ。これまでのカーナビ機能「Drive」に歩行者向けの「Walk」が追加され、ユーザーは道を歩きながらナビサービスを利用できるようになる。端末には電子コンパスを内蔵し、端末の向きを変えても方角を見失うことがないよう配慮するなど、使い勝手にもこだわった。また、写真を撮った場所の情報をメタデータに格納できるようにするジオタグ機能に対応することで、ページ内情報に基づいたインターネットサービスを支援するという。
Nokia Maps 2.0のβ版は、Nokiaが同日発表した新モデル4機種などの一部機種で利用可能。ソフトウェアはNokia Beta Labsからダウンロードできる。Nokiaは、2008年の前半に「Series 40」向けのNokia Mapsもリリースする計画だ。
Ovi初のサービス――SNSサービス「Share」
2つ目の新サービスはSNSのShare。同社が2007年に買収したメディア共有サービスTwangoの技術をベースとしたもので、Oviブランドで提供する初のサービスとなる。
Nokiaでサービス・ソフトウェア担当執行副社長を務めるニクラス・サヴァンダー(Niklas Savander)氏は、まずOviについて説明した。
OviはNokiaが2007年8月に発表したインターネットサービスで、同社が提供するサービスの土台ともいえる存在だ。音楽、ゲーム、地図などのメニューが用意され、コンテンツはPCや携帯から利用できるなど「携帯電話、PC、Webを結びつけるもの」という位置づけになる。サヴァンダー氏はこのサービスについてオープン性と適応性を強調し、APIでこの上に各種サービスを構築するプラットフォームを目指すという。Oviは現在、徐々にローンチしている段階で、2007年末に英国で提供開始した音楽サービスの「Nokia Music Store」を、2008年前半には欧州、アジアの10カ国に拡大する計画だ。
Shareは「携帯電話向けSNS」としてサービスを提供するもので、100以上のファイルフォーマットをサポートし、音楽/写真などのメディアのアップロードや共有、管理を容易に行える。同サービスはNokia製端末だけでなく、非Nokia端末もサポートし、端末やファイルフォーマットを気にすることなく利用できるという。
Nokiaは2007年第4四半期の業績報告書で、世界シェアが過去最高の40%に達したことを発表しており、カラスブオ氏は「この成功を土台に、インターネット時代に向けて好位置につける」と宣言。「携帯電話でインターネットの制約を解き放つ。Nokiaはメディアとユーザー1人1人に最適な体験を提供することで、インターネットを再定義する」と、最大手メーカーの自信をのぞかせた。
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