SKTのHanaro買収問題、周波数の再割り当てを条件に承認か
韓国公正取引委員会は、SKTによるブロードバンド大手Hanaroの買収を承認した。最終決定には情報通信部の判断が必要なほか、携帯事業用周波数の再編など、さまざまな条件が課せられる。
SK Telecom(以下、SKT)による、韓国ブロードバンド大手Hanaro Telecom(以下、Hanaro)買収が、韓国公正取引委員会(以下、公取委)によって承認された。最終決定には韓国情報通信部の判断が必要だが、買収が実現すればSKTが携帯とブロードバンドの双方で独占状態になることから、韓国の通信市場に大きな影響を与えるものと思われる。
韓国の報道によると公取委は、今回の買収について公正な競争を妨げるさまざまな要素が存在すると見ているようだ。そのため、SKTがHanaroを買収するための条件が設定される。それは、現在SKTが保有している携帯事業用の800MHz帯周波数を2011年に返上させ、複数の携帯電話事業者が共有できるように再割当を行うというものだ。
また韓国では、市場支配的な事業者であっても、固定回線と携帯電話など異なる通信商品をセット売りできる「結合販売」が行える。固定網を持たなかったSKTも、Hanaro買収により結合販売が行えるようになるが、公取委はここでも独占を防ぐため、販売方法に制限を設けるなど条件を課す模様だ。このほかにも、提供中のサービスを勝手に中止・廃止することを禁止するなど、さまざまな規制が設けられている。
今回の買収について公取委は、以上のような条件を含む意見を情報通信部に伝える予定だ。情報通信部はこの内容を検討した後、最終的に買収の認可を決定する。
SKTは800MHz帯での携帯電話事業こだわっており、LG Telecomなど他キャリアとの共有をことごとく断ってきた。しかし、今回のような措置が政府側から命じられれば、SKTとしても従わないわけにいかないだろう。Hanaroを手に入れるための代償は、SKTにとっては予想外に大きいものになったといえる。
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