「日本の携帯市場はまだ飽和などしていない」──イー・モバイル 千本会長(2/2 ページ)
イー・モバイルの千本倖生会長は、音声サービスを開始するに当たって「日本が世界一の携帯国家になるためにどうすればいいか考えた」という。同氏は日本の携帯電話市場はまだまだ大きな成長の余地があると話した。
「EMONSTER」は“いいもん”
千本氏に続いて音声端末の説明をした代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏は、まずHTCの「EMONSTER」を紹介した。EMONSTERは“EMObile Net Smart TERminal”の略称だという。さらに短く「EMON(イーモン)」とすると、“いいもの”に通じる「いいもん」にもなると話し、端末の魅力に自信を見せた。スマートフォンは世界的にも普及台数が急速に増えており、日本でもこれからさらなる普及が期待できるという。
またガン氏は「EMONSTERはSIMロックフリーで提供する。イー・モバイルで保証するわけではないが、GSM圏では現地の携帯電話事業者と契約してSIMを差し、利用してもらえる」と話し、EMONSTERがSIMロックフリー端末として提供されることを明らかにした。
東芝の音声端末「H11T」は、4色のカラーバリエーションを用意しているが、それぞれを「血液型に合わせた」(ガン氏)とのこと。Pure WhiteがA型、Straight BlueがB型、Dynamic BlackがO型、Creative PinkがAB型をイメージしているという。ちなみにガン氏は番号ポータビリティを利用して3月28日からイー・モバイルに転入し、「H11TのCreative Pinkを使う予定」だと話した。
イー・モバイルは独自のEメール・ネットサービス「EMnet」もサービス開始とともに提供し、有料コンテンツなどの提供も行う。EMnetの利用料は月額315円。トップページにはGoogleモバイルを採用し、Gmailなども利用しやすいよう配慮した。メールアドレスは、「@emnet.ne.jp」となり、迷惑メールフィルタ機能なども提供する。
2機種の端末は、3月1日から予約の受け付けを開始し、サービス開始の3月28日に発売する。既存のイー・モバイルユーザーには、2月25日から下4ケタの番号を自由に選べる電話番号予約サービス「ケータイ番号チョイスキャンペーン」も実施する。3月1日以降は、新規加入のユーザーにも同様のサービスを提供する予定だ。
なお、FeliCaを搭載したモデルがないことを問われたガン氏は、「まずは2台目利用のユーザーがターゲットとなるため」と、その理由を説明。また千本氏は「FeliCaとか、そういう日本ローカルのおまけ機能ばかり追求しているから国際競争力がなくなる。余計なものはいらない。オープンでグローバルなものを導入していきたい」と話し、FeliCaの搭載には否定的な考えも示した。
端末は現在約7割が家電量販店経由で販売されており、残りの3割がインターネットでの直販と代理店経由の法人向け販売とのことで、「キャリアショップの展開などについてもこれから検討する」(ガン氏)と話したが、当面は現在の家電量販店中心の展開を継続する考えだ。
音声サービスを利用するに当たって、ユーザーとしてはどれくらいのエリアで利用できるのかが気になるところだが「2007年末までに人口カバー率は50%を達成した」とガン氏。ドコモとのローミングを利用すれば、サービス開始時に人口カバー率95%を達成でき、2008年6月末までにはイー・モバイル単体でも人口カバー率70〜75%を達成する予定だという。「東名阪に限れば、すでに人口カバー率は90%を超えており、大都市圏のユーザーはもうそれほど不自由することはないと思う」(ガン氏)
ただし地下などのエリア整備にはまだ時間がかかる見込みだ。地下街や地下鉄、トンネル内などのエリア整備にはまだ1年程度の時間が必要だという。
またドコモのローミングが利用できる地域は、イー・モバイルのサービスエリア外だけとなる。北海道の札幌近郊をのぞく道内、青森県、秋田県、岩手県、山形県、福島県、長野県、富山県、石川県、福井県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、香川県、愛媛県、徳島県、高知県、大分県、宮崎県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県に限られており、その他の地域では一切ローミングは利用できない。つまり、東京都内でイー・モバイルが通じない場所などでは、あくまでも圏外であり、FOMAの通信網が利用できるわけではない。またローミングサービス自体も申し込みが必要で、月額105円の料金が必要なほか、音声通話の場合は30秒あたり22.05円、パケット通信の場合は1パケットあたり0.0735円の従量課金となる。
国際ローミングサービスは、夏ころから利用可能になる見通し。
HTCのピーター・チョウ氏、東芝の岡本光正氏があいさつ
イー・モバイル向けに、新たに端末を供給することが決まった台湾HTCと東芝からは、代表者が出席して祝辞を述べた。
HTCのCEO、ピーター・チョウ氏は「イー・モバイルのモバイルブロードバンドサービスの発表に関わることができ光栄だ。イー・モバイルとHTCは似たビジョンを持っている。それは、革新的なモバイル体験を提供するということ。これからも緊密な関係を維持していきたい」とイー・モバイルを称賛。またEMONSTERとして販売される「HTC TyTN II」は、すでに米国や欧州で高い評価を得ている端末であり、電話と同じくらいの大きさで、音声サービスが使いやすいだけでなく、同時にQWERTYキーなどを搭載してデータ通信も最適化されていることをアピールした。
東芝の執行役常務でモバイルコミュニケーション社 社長の岡本光正氏は、「力強い決意表明、推進の言葉を聞いて、東芝としても身の引き締まる思い。また、同時に期待に胸がふくらむ。携帯の稼働台数が1億1000万台を超えた現在、端末の事業者やメーカーにとって、需要を喚起するための新しい工夫や事業スキームの構築が急務となっているが、その中で、イー・モバイルが成功しているのは、ひとえに千本会長、ガン社長の新しい分野への飽くなき執念のチャレンジが実ったもの」とイー・モバイルに全面的に協力していく考えを示した。端末については「イー・モバイルが推進するモバイルブロードバンドの展開に必ず役に立てる」と自信を見せた。
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