瞬時に切り替わるダイヤルキー、ホームネットワークのデモも──ドコモブース:ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008
ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008の会場では、NTTドコモがブースを構えて研究開発中の技術を展示していた。瞬時に表示が切り替わるダイヤルキーやiアプリで制御するホームネットワークのデモなどを行っている。
5月13日と14日の2日間に渡って開催されたワイヤレス・テクノロジー・パーク2008の展示会場では、各社が研究開発の成果やこれから必要となる最新技術に対応した通信機器、測定器具などを展示していた。その中でも目を引いたのが、NTTドコモのR&D部門が出展していたブースだ。
ドコモでは、無線技術の研究開発だけでなく、携帯電話の使い方やユーザーインタフェースといった、エンドユーザーの端末の使用感を向上させるための研究や、さまざまな携帯電話の活用方法の研究なども行っている。
瞬時に表示が切り替わる「マルチ表示キートップ」
ユーザーの使い勝手を向上させる取り組みの1つとして紹介されていたのが、使い方に合わせてキートップの表示を切り替える技術「マルチ表示キートップ」だ。これは、ダイヤルキーの表面に、異なる表示パターン(文字や記号)を形成したノッチフィルタ(特定の波長の光だけを反射し、それ以外の光は透過する光学フィルタ)を配置して、バックライトの色を切り替えて表示を瞬時に変える技術である。
ドコモでは、CEATEC JAPAN 2007でダイヤルキーに電子ペーパーの技術を採用した「キーパッドディスプレイ」というコンセプトも発表しているが、電子ペーパーが表示の切り替えに1秒程度の時間がかかるのに対し、マルチ表示キートップは本当に光源の切替と同時に表示が切り替わるのが特徴だ。
説明員によると、キーパッドディスプレイとマルチ表示キートップはまったく異なる部署で研究開発をしていたもので、お互いにその存在を知らなかったとのこと。マルチ表示キートップは、バックライトを活用するため、暗所でもよく見えるが、逆に晴天の日なたなどでは表示が見にくいというデメリットがある。バックライトを光らせる必要があるため、それなりに電力を消費してしまうのも課題だ。一方キーパッドディスプレイは電子ペーパーなので、消費電力が少ない、屋外で見やすい、暗い場所では見にくいという特性があり、「現状ではどちらも一長一短」(説明員)と話していた。
用途としては、らくらくホンのような、携帯電話の操作に不慣れなユーザーが利用することも多い端末で、キートップを適宜必要な表示に切り替えるという使い方を想定しているが、このほかにもバッテリー残量表示など、各種インジケーターなどにも応用できるという。
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iアプリで家電を制御──PUCCを活用したホームネットワーク
もう1つ、ドコモのブースで気になったのがホームネットワークに関連する展示だ。DLNAやECHONETなど、家庭内の電化製品をネットワーク化する規格はいくつかあるが、これらはいずれも相互の互換性はないのが現状だ。しかし、PUCCを活用すればホームネットワークへのシームレスな接続が可能になるという。例えばドコモのケータイにインストールしたiアプリから電気のオン/オフや玄関の施錠、HDDレコーダーやテレビ、冷蔵庫の制御といったことが一手にできる。
PUCCとは、P2P Universal Computing Consortiumが制定した、異なるトランスポートやプロトコルを介して通信するデバイスを接続し、利用可能にする共通の通信プロトコルだ。PUCCのプロトコルを活用したアプリケーションであれば、DLNAやECHONET、PictBridgeなどのプロトコルを相互変換するルーターを用意することで、既存のネットワーク対応家電を含め、すべて携帯電話や無線LAN搭載端末などから制御することが可能になる。PUCCのプロトコルはホームネットワークとセンサーネットワークのような、IPネットワークと非IPネットワークの通信も可能だ。
会場でデモしていたのは、iアプリからPUCCのプロトコルを利用して照明のオン/オフをする機能や、玄関を施錠する機能。またFeliCaと連動し、指定した駅の改札口を出ると家のエアコンの電源が入る、あるいは指定駅の改札を通ったときに照明がついたままだったら消灯する、といった機能。まだまだ研究段階とのことだったが、ドコモが2008年に取り組む予定のホームネットワーク構想の一端を垣間見た気がした。
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