第1回 中国のPHS「小霊通」、格安通話が期待できる「PIMカード」とは:徹底解説 ウィルコムのPHSを中国で使う方法(2/2 ページ)
2008年8月に開幕する北京オリンピックはもちろん、ビジネスとして渡航するユーザーも多いであろう中国。この中国で、ウィルコムの「X PLATE」が使えるのはご存じだろうか。これを実現する中国PIMカードの購入方法や現状、そしてどのように中国で使えるのか──香港在住の筆者が、中国の主要都市を巡りながら解説していく。
さて、小霊通は携帯電話型の端末を利用するものの、中国では「移動体通信」ではなく「固定電話の移動可能な端末」という位置付けのサービスとなっている。すなわち中国政府は小霊通を「ケータイ」ではなく「固定電話」として認可している。
このため、小霊通の電話番号はサービスを展開する各都市の固定電話と同じ番号体系になっており、日本のようにPHS専用の電話番号は付与されない。よって小霊通は都市をまたいで利用することもできない。例えば上海市で契約した小霊通は上海市のみでしか利用できず、国内ローミングも不可能だった。小霊通が固定電話であることを考えると確かにと思うところはあるが、一方の携帯電話は中国全土でそのまま利用できることから、特にビジネスユーザーなどから小霊通は敬遠されがちなサービスになってしまった。
そこで2005年から、携帯電話と同様に「端末」と「回線契約」を分離するための技術が導入された。それが「PIMカード」だ。PIMカードにはGSM/3G携帯のSIMカードと同じように、契約者の電話番号や契約内容が保存される。それまでの小霊通端末は契約都市だけでしか利用できなかったが、PIMカードの導入により、1台の小霊通端末で訪問先の都市ごとにPIMカードを入れ替えて利用できるようになった。ウィルコムのX PLATEが中国で利用できるのも、中国のPHSが早くから回線と端末の分離を実現できていたことが大きいだろう。
中国でPIMカードを入手するには
では、外国人が中国で小霊通のPIMカードをどのようにして入手するのか。ウィルコムによると日本国内の旅行者でもプリペイド契約のPIMカードを中国現地で購入できるそうだが、小霊通は前述のとおり、あくまでも「固定電話」である。すなわち現地では「契約」が必要なはず。本当に大丈夫なのか、中国に居住していない日本からの旅行者が簡単に現地で契約できるのか──。ここがかなり気になっていた。
というわけで、この点を実際に試してみるのがこの企画の目的となる。
今回は中国の3大都市である広州、上海、北京を訪問し、実際に現地で小霊通のPIMカード契約を行った。果たして簡単に小霊通の契約はできるのか、それはどうやるのか。オリンピック観戦を中心に、観光で中国へ行く予定の人はもちろん、ビジネスで中国へ渡航する人も参考にしていただければ幸いだ。
関連記事
- 「X PLATE」関連記事一覧
- 中国でも使えるコンパクトなストレート型PHS――「X PLATE」
X PLATE(テンプレート)は、W-OAM対応の最小、最軽量音声端末として登場したストレート型PHS。中国で購入したPHS用SIMカードを差せば、オリンピック開催地の中国でも利用できる。 - 写真で解説する「X PLATE」
ボディのコンパクトさが目立つ「X PLATE」は、中国で通話ができるPIMカード対応のエントリーモデル。カメラやブラウザは非搭載だが、基本的な使い勝手はどうか。「PIMカード」の詳細を含めチェックした。 - 北京オリンピック“ケータイ”活用ガイド
2008年8月に北京オリンピックが開催される。日本からも多くの人が観戦のために中国・北京へ訪れることだろう。今使っているケータイが中国でも使えるのか。そもそも中国でケータイの電波は入るのか。現地プリペイドSIMカードはどうやって購入するのか。香港在住の筆者が一足早く「日本のケータイが中国でどう使えるか」を現地で試した。 - ウィルコム、W-SIMを海外展開──中国で4月発売(2008年3月)
ウィルコムは中国網通と共同で中国版W-SIMを開発したと発表。中国内で4月に販売予定とし、海外の市場拡大とともに、将来的な国内端末のラインアップ強化やコスト低廉化、次世代PHSの事業化・普及も目指す。 - China UnicomとChina Netcomが合併――中国の通信業界、本格再編へ(2008年6月)
携帯電話のChina Unicomと固定電話のChina Netcomが合併。CDMA事業はChina Telecomに売却し、新会社での携帯事業はGSMに特化する。 - 3G導入を前に、揺れる中国PHS(2006年3月)
PHS MoU Group総会で話された中国の通信事情からは、国産3GシステムTD-SCDMAの導入を前に、PHSの立ち位置を含め、業界再編もあり得る状況が見えてくる。 - 中国のケータイ事情:中国人にとっての携帯とは?(2005年9月)
中国のケータイ事情はあまりよく知られていない。しかしその実態を調べると、中国人とケータイは日本人以上に(?)切っても切れない存在なのだ。 - 中国版PHS「小霊通」とは? 実際に買って試す(2005年5月)
日本では、ウィルコム以外の事業者が元気をなくしているPHS。しかしお隣中国では、中国版PHS「小霊通」がユーザー数を伸ばしている。実際に購入してみると?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.