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「iPhone 3Gは最良の体験をめざして進化した」――iPhone/MobileMe担当者インタビューWWDC'08 インタビュー編(3/5 ページ)

いよいよ日本市場に進出するiPhone。WWDC 2008の最大の目玉である「iPhone 3G」について製品担当者に話を聞いた。

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部分の最適化ではなく、全体の最適化をめざすアップル

――iPhone 3Gの処理性能は、これまでのiPhoneよりも上がっているのでしょうか?

ボーチャーズ氏 我々の方針で、本体のアーキテクチャなど、細かなハードウェアの仕様についてはあまりおおやけには話さないことになっています。我々はそうした個々のハードウェア要素ではなく、全体としての体験のよさに目を向けて製品開発をしています。

 例えば、Webページの表示や、メールの添付ファイルを落とす速度の快適さなどです。この速度は一部は無線仕様、つまりHSDPA通信の恩恵ですが、一部はネットワークのスピード、そして一部はグラフィックスをどれだけ速く処理できるかによるものであり、一部は計算したグラフィックスをいかに高速に画面に表示させるかの問題だったりします。我々はそうした要素の1つ1つに目を向けて最適化しています。

 スティーブ・ジョブズの基調講演では、他社のスマートフォンとのダウンロード速度の比較で、iPhoneが圧倒的な速さを見せたことが紹介されていましたが、あのスピードが達成されたのは、こうした個々の要素にわたる最適化が行われたからだと考えています。

他社の3G対応スマートフォンと比べてもWebブラウザの表示速度が速いiPhone 3G。GSM+EDGEと3Gの新旧比較でも高速化した

――新しいiPhoneが採用しているCPUやGPUは何でしょう?

ボーチャーズ氏 繰り返しになりますが、我々は製品のアーキテクチャなどの詳細については話をしない方針を採っています。我々がiPhoneをデザインするときは、個々の要素をどうするかではなく、そうした要素が1つになったとき、いかに真価を発揮するかに注力しています。

 例えば新iPhoneの背面です。新しいiPhone 3Gの背面はプラスチックになりましたが、これは見た目の変化に加えて、より多くの電波を通すための工夫でもあります。

 なぜならiPhone 3Gでは、3バンドのHSDPA通信、4バンドのGSM通信、それにBluetooth、Wi-Fi、そしてGPSといったさまざまな無線技術を採用しているからです。iPhoneの内蔵アンテナや背面プラスチックでは、電波を効率的に通すために非常に手の込んだ工夫を凝らしています。

 例えばこのカメラの回りに金属のリングがあるのが見えると思いますが、これはGPS用のアンテナの一部になっています。我々はこうしたコンポーネント1つ1つを非常に革新的な方法でうまくまとめあげ、その要素1つ1つが最大限の効果を発揮するように努力しているのです。

 そうした努力の結果、これだけの無線技術を使いながらも5時間の通話時間などに代表されるずばぬけたスペックを発揮できているのです。

林信行 背面と言えば新製品では背面がきれいな弧を描いていますが、これにはどのような意味があるのでしょう?

(筆者注:同社工業デザイン部門の副社長であるジョナサン・アイブ氏は、“アップルではすべてのデザイン要素がきちんと考え抜かれ、意味があるものになっている”と常々語っている)。

ボーチャーズ氏 第1の理由は、それが大変見た目にも美しいからです。もう1つの理由は、この形にすることで、手のひらにのせたときに、大変心地が良いからです。

 iPhoneは3.5インチの大きくて明るいタッチパネル液晶を採用することで、極めて快適なWebブラウジングを可能にしました。iPhoneユーザーの極めて多くの人が、Webブラウジングをしているのも、そのおかげでしょう。我々は現行iPhoneのこうした良さを継承しつつも、さらに製品としての快適さ、使い勝手の良さや美しさを極めていこうとしました。

 使い勝手の良さといえば、ヘッドフォンジャックについても言えます。これまでのヘッドフォンのように、奥まった端子ではないので、種類を選ばずお気に入りのヘッドフォンを挿して使うことができます。

(注:従来のiPhoneはヘッドフォン端子が、本体上部の丸い穴の奥にあった。このため、ヘッドフォンの差し込み部分が穴のフチにひっかかってしまい使えないことが多かった)

 一方で、ドック端子からのオーディオ出力についても、さらなる音質向上を図りました。アップルはこのように、常にデザインを洗練させ、次のレベルに持っていくことに注力しています。

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