告発のとき「父さん、あることが起きたんだ……」:Mobile&Movie 第314回
映画に登場する“モバイル製品”をチェックする「Mobile&Movie」。アカデミー受賞脚本家ポール・ハギスが、イラク帰還兵の心の闇に向き合った『告発のとき』。行方を絶った息子の手掛かりはケータイの中に……。
作品名 | 告発のとき(In The Valley of Elah) |
監督 | ポール・ハギス |
制作年・製作国 | 2007年アメリカ作品 |
今回ご紹介する作品は、アカデミー受賞脚本家ポール・ハギスが、イラク帰還兵の心の闇に向き合った『告発のとき』。イラクから帰国した直後に、失踪した兵士とその家族の実話がベースになっています。息子を探す手掛かりに、父親は息子の携帯電話の記録を探ります。
ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、元軍警察で働いていたタフな男。2人の息子も軍に自ら入隊した、典型的な軍人一家でした。下の息子のマイク(ジョナサン・タッカー)は、イラクに出征してから、メールや電話で父親に連絡を入れていました。しかし、滞在期間が長くなるにつれて、それは弱音を吐くような内容に変わり、ハンクはマイクを男らしく任務を続けるよう、励ましていました。
イラクからマイクがやっと帰国することになり、ハンクと妻のジョアン(スーザン・サランドン)が安心したのも束の間、マイクは突然失踪してしまいます。ハンクは過去に軍警察にいた手腕を活かして、マイクが姿を消した軍の基地へと向かいます。父親をあれほど慕っていたマイクに限って、無許可離隊をするなどありえないと考えたのです。
基地に着いたハンクは、まず息子の部屋を見せてもらうことに。相部屋の友人も、マイクの行く先に心当たりはないと言います。軍の関係者は女性関係をにおわせましたが、ハンクは信じません。軍はよくある失踪だと決めつけて、まともな捜査はしそうにありませんでした。そんな様子を見て、ハンクは部屋の中から、マイクが残していった携帯電話を見つけて、こっそり持ち帰りました。自分の力で、マイクを探そうと決意したのです。
ハンクは壊れてかけているマイクの携帯を修理屋に持ち込み、すべての動画ファイルを修復してほしいと依頼。きっと携帯電話に息子の手掛かりが残っているはずだと信じたのでした。
携帯電話の修理に時間を費やしている間、ハンクは地元の警察を尋ねて、失踪者の捜索をしてほしいと頼みました。そこで応対に出た女刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)は、マイクが軍人で軍警察の管轄であることを理由に断わろうとしますが、ハンクの根気に負けて、わずかながら協力を約束します。
やがて、マイクの携帯電話に残されていた動画が明らかに。そこにはマイクのイラクでふざけあう姿や、戦闘の中でもカメラを回し続ける姿、仲間と口論になっている姿がありました。さらに
「父さん、あることが起きたんだ……」
と、ハンクに語りかけるようなメッセージも残されていました。イラクでマイクに何が起こったのか? ハンクが冷静に分析を試みようとした時、恐れていた出来事が起こってしまいます。マイクは殺されていたのです。それも、見るも無残な、残酷な方法によって。
ハンクは憤る心を抱え、さらに帰国後のマイクの足取りと、マイクを殺した犯人を追い続けます。やがて、携帯電話の動画からハンクはヒントを得て、真犯人にたどり着きますが……。ハンクが知った真実、そしてマイクが抱えていた心の闇とは? イラク戦争の意義を問う、社会派のストーリーです。
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