第4回 北京にあった、“待望”のプリペイドPIMカード:徹底解説 ウィルコムのPHSを中国で使う方法(2/2 ページ)
日本のPHS「X PLATE」は、格安の通話料金が期待できる中国のPHS“小霊通”になる。今回は広州、上海に続いて、北京オリンピックを間近に控える北京で小霊通を契約した。店頭で役立つ「筆談用の会話文例」のおまけ付き。
北京市内では、他都市と同様に屋外や主要なエリアでは問題なく利用できる。ただ、地下街やエレベータ内では圏外となることもあった。
なお、北京の地下鉄は現在全線でケータイが利用できるようエリア改善が行われているが、小霊通の予定は未定のようだ。これらのことから中国の小霊通のカバーエリアは、ひと昔前の日本と同じようなレベルなのかなという印象だった。
都市 | 契約 | パスポート | 住所 | 基本料金 |
---|---|---|---|---|
広州 | 必要 | 必要 | 不要 | 16元/月 |
上海 | 必要 | 必要 | 必要(滞在ホテルなど) | 0.3元/日 |
北京 | 不要・プリペイドPIMカード購入可能 | 不要 | 不要 | 39元/30日、69元/60日、99元/90日の3タイプ |
PIMカード契約に使える“ぷち”中国語講座
さて今回は広州と上海、北京の中国3都市でPIMカードを入手した。この契約においては中国語でのコミュニケーションをまったく行わずに済ますのはやや困難だ。契約までのプロセスが理解できていれば相手の言うこともそれとなく理解できることもあるかもしれないが、会話の流れが分からなければ、こちらも何を伝えてよいか不安になる。ちなみに都市によっては英語、というか「プリペイド」という英単語自体が通じにくいこともあった。
北京のように「プリペイドPIMカード」を購入できるなら、契約ではなく、それを購入したほうがよい。一方、広州や上海など「プリペイド契約」を必要とする都市では、最低限の中国語を伝えられるよう、あらかじめ“筆談”用のメモなどを容易しておくのはいかがだろうか。筆談などで最低限のことを伝えれば、あとは店員が“こちらが外国人であることをある程度理解し”処理を進めてくれる。
以下に筆者が今回の契約において用意しておいた文例を記述しておく。ちなみに、きちんと発音しないとかえって“何を伝えたいのか分からない”状況になってしまうこともあるので、あえて見せて「筆談用」にできるものにした。このほか、観光ツアーに参加する人などならば、ガイドに筆談用の中国語を書いてもらっておくのもいいかもしれない。
- 私は小霊通の契約を行いたい
- プリペイド(先払い式)で契約をお願いします。
- 私は外国人です。これがホテルの住所です。
- 私は小霊通の増値カードを買いたいです。
- この小霊通に残高を追加(増値)していただけませんか?
- 私は短期小霊通カード(北京のプリペイド式カード)を買いたい
ウィルコムの「ウィルコム海外レンタルサービス」を使う
中国語でやりとりするのは、やはり少し不安……。それならば、ウィルコムが用意する「ウィルコム海外レンタルサービス」を使うのがよいだろう。2008年7月15日に始まった。X PLATEユーザーはPIMカードのみ、それ以外のウィルコムユーザーもX PLATE+PIMカードをセットで借りられる。
貸出形態 | PIMカードのみ | PIMカード+X PLATE |
---|---|---|
申込手数料 | 1050円 | 1050円 |
基本料(北京か上海のどちらか) | 525円/月 | 210円/日 |
基本料(北京と上海の両方) | 1050円/月 | 310円/日 |
※沖縄および離島など一部地域で受け取る場合は別途2100円かかる |
通話・通信の種類 | 料金 |
---|---|
中国国内への通話(発信) | 40円/分 |
中国国内からの着信 | 無料 |
国際IP電話での通話(発信) | 100円/分 |
ウィルコムの電話番号への着信(転送) | 35円/30秒 |
SMSの送信 | 40円/1通 |
SMSの受信 | 無料 |
※SMSは中国国内のPHS・携帯電話とのみ送受信が可能 |
開始は2008年7月15日。事前にウィルコムサービスセンターに電話で申し込みをする。受け取りはモバイルセンター成田第一・第二(テレコムスクエア)かウィルコムプラザの店頭、もしくは宅配便が選べる。
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