携帯電話出荷台数“48.6%減”――キャリアトップの考えは
JEITAが発表した2008年8月の移動電話国内出荷台数実績は216万6000台と、7月実績から2カ月連続でマイナスとなるほか、前年同月比では51.4%と大きく下落。キャリア3社トップの見解はいかに。
10月8日、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社トップがそろう安心ネットづくり促進評議会設立の記者会見が行われた。質疑応答では、会見の数時間前に電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した“前年同月比48.6%減”という2008年8月の移動電話国内出荷台数実績についての質問も飛び出した。
NTTドコモ代表取締役社長の山田隆持氏は、「48.6%減は出荷についての数字。ドコモの総販売数では、前年同月比20%減という数字が続いている。当初の計画とは違い、在庫が店頭にあることから出荷が落ち込んで今回の結果になったのだろう。(ドコモの販売数が)50%減という大きな数字になったわけではない」とコメント。
販売/出荷台数の低迷について山田氏は、「端末を正価で販売することも影響しているが、昨今の不況による内需の冷え込みもあるだろう。端末買い替えの原動力が下がっていると感じる」と、販売奨励金制度(インセンティブモデル)からの脱却も理由に挙げられると述べた。
しかし、利用するの総数が減ることへの対策は必要だ。「これについては、端末を供給するメーカーと調整して、開発期間の調整やソフト開発体制の見直しなどを行いたい」(山田氏)と、端末開発にかかわる全体的なコスト削減に乗り出すことを明らかにした。
ソフトバンクモバイル代表取締役社長兼CEOの孫正義氏も、「やはり販売方法の変更と不景気というのが大きいだろう」とドコモ山田氏とほぼ同じ意見であると前置きした一方で、「以前は3カ月とか半年で端末を買替えていたユーザーがいた。果たしてそうしたことが、(インセンティブモデル下で)健全であったといえるのか」と、現在の出荷台数が“実力値”に近いという考えを示した。
さらに、「出荷台数の48.6%減というのは、在庫調整という意味合いが大きかったのだろう。しかし今後、急激に数値が改善することもないのではないか」(孫氏)と回答し、携帯電話市場が調整局面に入ったことを示唆した。
KDDIの小野寺氏は「この場ではふさわしくない話題」として多くを語らなかったが、「山田社長、孫社長の発言通りだと思う」と答え、同じ考えであることを示した。
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