モバイル検索エンジンで世界を目指す──エフルートとプリファード、LLP設立の狙い(2/2 ページ)
モバイル向けの検索サービスで定評のあるエフルートが、画像検索を皮切りに、検索エンジンを大幅に刷新するという。新たにプリファードインフラストラクチャーと有限責任事業組合(LLP)を設立するのもそのためだ。両社の狙いや、両社が目指すモバイル検索の今後を聞いた。
── 検索エンジンを提供したいと考えている会社やサイトはありますか?
尾下氏 すでにある程度、検索エンジンの開発競争で戦意を喪失されているところを想定しています。僕らもプリファードさんも、相当身軽な会社で、コスト構造にも融通が利きます。PCの世界と同じで、モバイルの世界でも、最終的に使われる検索エンジンの数は2〜3社だと思います。日本でも、恐らくGoogleとYahoo!の2社は鉄板でしょう。そう考えると、3社目として、多くのプレーヤーの皆さんさんが参画してけるような環境にしていくべきなんです。この状況を三国志に例えれば、僕らは間違いなく蜀です(笑)。国家資源はないですが、人と志だけがある状況。この志に賛同してくれるところを募って、世界を目指せるようなサービスを作っていきたいなと思います。
もちろんビジネスなので、志だけでなく、実際に(検索を提供する)メディアが使いやすいものを作る必要があります。例えば、ありとあらゆる情報を集積、検索できるデータベースをプリファードさんに作っていただき、我々がフィルターを作るということも考えています。モバイルには色々なメディアがありますから、そこに合わせて個々にカスタマイズしていくことが、絶対に必要です。
海外進出も視野に入れたサービス・技術開発
── プリファードさんは、今回のLLPでどのようなチャレンジをしたいですか。
西川氏 技術的には、ケータイ検索も、PC検索の延長線上で考えられています。ですが、ケータイユーザーとPCユーザーでは、行動もアクセスパターンも違います。コンテンツの分布も違いますし、中にあるテキスト情報も違います。本当はアルゴリズムの部分まで、変える必要があるんですね。このLLPでは、ケータイ向けの新しいアルゴリズムのようなものを構築していけたらなと考えています。ほとんどの検索アルゴリズムはアメリカの研究を輸入したものですが、アメリカは日本ほどケータイ検索が使われていません。日本発だからこそ、ケータイに特化したアルゴリズムを作ることができるのではないかと思います。
── 最終的にはそれらのサービスや技術を海外に持っていくことも考えているのでしょうか。
尾下氏 そうですね。それは十分に想定しています。米国のモバイル検索を見ていると、iPhoneやBlack Berry、Windows Mobileなどに代表されるように、ケータイインターネットがモバイルコンピューティングの延長で進んでいるので、PC検索がそのまま機能するかもしれません。ですが、少なくとも、アジアを中心としたWAPベース(ケータ向けの規格であるWAP2.0)の国々は違います。アジアのモバイルインターネットでは、我々の作ったものが生かせる可能性も多分にあるので、そこには積極的に展開していきたいなと思います。プリファードさんの持っている検索技術は、言語を問わず利用できるんです。当然今後世界を目指すことを考えています。
佐藤氏 近い将来、Googleも必ずケータイの世界にやってくると思います。1億数千万人のユーザーで、満足する会社とは思えませんからね。そうなると、主戦場はやはりモバイルになります。彼らとプロダクトとしてだけでなく、サービスとしても競争できる体制を作っていかないと、今後は戦っていけないのだと思います。
尾下氏 早めにGoogleさんにマークされるような会社になりたいですね(笑)
400万人のケータイユーザーを擁するエフルートと、スケーラビリティーある技術を持ったプリファードがタッグを組んで世界を狙う──。両社の狙いは、実に明確だ。日本発のケータイ検索が、Googleと世界で渡り合う日も、そう遠くはないのかもしれない。
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