海外パケット定額制のインパクトについて、ロンドンで考えてみた:神尾寿の時事日想・特別編(3/3 ページ)
ソフトバンクとドコモが提供開始、auも来春からサービス提供予定の海外パケット定額制度。海外パケット定額制にはどのようなインパクトがあるのか? 筆者の体験も交えながら考えた。
「海外でTwitter」の新しい面白さ
地図・ナビゲーションや地下鉄乗り換え案内以外では、「Twitter」が料金の心配なく利用できたのも市街観光を楽しむ上で役立った。筆者は街を歩きながら、写真やコメントをたくさん投稿(ツィート)したのだが、そうすると日本にいるフォロワーから多くのコメントがあった。この時差と距離を超えてのコミュニケーションは予想以上に楽しく、海外旅行の新たな楽しみ方になるのではないかと感じた。旅行代理店が「個人旅行」と「SNS」や「ブログ」「メール」など、モバイルインターネットのコミュニケーションやコミュニティサービスを組み合わせた新たな旅行商品を開発したら、意外とウケるのではないかと思う。
海外パケット定額制の普及で、海外旅行向けコンテンツが注目?
これまで従量制だったパケット料金が定額制になる。これはコンテンツやアプリ利用の“足かせ”がなくなることであり、様々なサービスやビジネスの可能性を広げる。
特に昨今はiPhoneやスマートフォンなど海外でも高度なサービスが利用できる端末が増えている。今回紹介した地図・ナビゲーションや乗り換え案内といった実用系だけでなく、日本で流行している「位置ゲー (位置情報を用いたゲーム)」などエンタテイメント系の海外旅行向けアプリの登場も考えられるだろう。海外パケット定額制の登場は、モバイルコンテンツ/サービス分野において、新たな市場創出効果も期待できそうだ。
著者プロフィール:神尾 寿(かみお・ひさし)
IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年からモバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを務めている。2008〜2009年、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。
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