海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「インドネシア・ジャカルタ」編:「代行がうれしい」海外定額データ通信(2/2 ページ)
インドネシアの首都、ジャカルタはアジアでも屈指の大都市。観光客のみならず世界中からのビジネス出張者が集まるため、プリペイドの携帯/データ通信環境も比較的容易に入手できる。
HSDPA USBモデムとSIMカードセットを購入
続いて、USBモデムとプリペイドSIMカードのセットも購入してみよう。こちらはジャカルタ市内の携帯電話ショップなら大丈夫だが、冒頭に書いたように通信事業者の店舗では販売されていないことが多い。また、ホテル付近に携帯ショップらしき店舗がないのであれば、ジャカルタ市内の各地にあるITCと呼ばれるIT系のショッピングモールへ行くとよい。IT系といっても店内の半数以上が携帯電話関連の店舗なのに驚くはずだ。最大規模のITC Roxy Masは、5階建てのビル全体に携帯ショップばかりがずらりと入っている。
USBモデムは、通信事業者がモデムとSIMカードを一緒にしたセットパッケージのほか、販売店が独自に単体USBモデムとSIMカードを組み合わせている場合がある。ともあれ、ITCモールの携帯ショップであれば「データ通信用のUSBモデムがほしい」と言えば、「あいよっ」といくつか商品を見せてくれるだろう。仮に在庫がなくても、ありそうな店はそこなどと教えてくれたりもする。
ITC Roxy Masを歩き回ったところ、通信事業者のセット品はやはりTelkomselのものが一番多く、次にXLがいくつかという状況だった。また、大手スーパーのカルフールではAXISのもの、国内家電量販店 ベスト電器もひとまず各社のものがあるという状況だった。今回は無難にTelcomselのHSDPA対応セットにした。価格は33万ルピア(日本円換算で約2900円)だ。
パッケージの説明によると、USBモデムと3カ月有効のプリペイドSIMカードが入っているとのことだ。店員が「開通、自分でできるか? こっちでやろうか?」と言ってくれるので、今回もお願いしてしまった。パッケージには指定の電話番号宛にSMSを送ることで利用開始と書かれているが、実際はその前にユーザー登録をSMSを使って行わなくてはならない。この点、代行してくれるので安心だ。
接続ソフトは、画面中央右の「Connect」ボタンで接続できる。接続後、画面下にデータ送受信量などが表示される。残高確認も接続ソフトからSMS送信操作で同様に行えるが、こちらは3カ月間使い放題なので特に気にする必要はないだろう。
CDMA2000モデムで自力登録に挑戦
このように、ジャカルタのプリペイドSIMカード(のアクティベート)は「ひとまずおまかせ」でよい。でも、自力登録にもチャレンジしてみようではないか。前述したように同国のプリペイド携帯電話製品は身分登録も含めてすべてSMS操作で行える。ただ、表示言語がインドネシア語のため難易度がやや高いというだけだ。
ITCモールには、CDMA2000事業者のプリペイドデータ通信キットも安価に販売されていた。こちらはPCに接続後、PCのソフトウェア上でユーザー登録と利用開始登録が行える。英語メニューもあるので、登録も簡単だよとのことである。
ということで購入したのがSmartfrenのUSBモデムセット。最大通信速度別に2種類あったが、今回はお試しなので最大3.1Mbpsの低速/安価モデルにした。価格は30日使い放題で19万9000ルピア(約1750円)だった。
PCに差してインストールされる接続ソフトから、登録用サイト(http://data.smartfren.com/registration)へアクセスする。このサイトへは利用開始登録が済んでいなくてもアクセス可能である。まずは電話番号とActivation Codeを入力。SIMカードの電話番号はパッケージに書かれた08からはじまる12ケタの数字。Activation Codeはパッケージの裏側へ織り込んであるシールに記載されている4ケタの数字だ。
次の画面でユーザー登録を行う。身分証明書の種類(PASPOR=パスポート)、パスポート番号、氏名、男女(男性=L、女性=P)、生まれた国、生年月日、職業(Salesなど、適当でよい)、インドネシアでの住所(滞在ホテルなど)を入力し、最後の「I agree」にチェックを入れて下の赤いボタンを押す。
パスポート番号を参照して入力するのは少し面倒だが、登録が完了するとUser NameとPasswordが表示される。User Nameは電話番号そのもの。Passwordは別に通知されないようなので、一応メモを取っておこう。接続ソフトの赤いボタンを押して表示されるログイン画面から、User NameとPasswordを入力すれば登録は完了。これで30日間使い放題となる。
ところが、一度ブラウザを閉じて再度実行すると、なぜか利用開始登録の最初の画面が出てしまう。どうやら登録がうまくいっていない模様だ。インドネシア語のできる知人にカスタマーサポートへ連絡をしてもらったところ「おそらく登録システムが不調なので、しばらく待ってほしい」とのこと。予想通りトラブルに遭遇……ネタにできてよかった。
翌日の昼、改めて作業してみたがやはりダメだ。仕方ないので利用開始登録を同行した知人名で“代行”してもらったところ、すぐ登録が済んだ。登録システムが不調なのか、はたまた自分の登録情報に不備があったのかはよく分からない……。
実速度については、TelkomselのHSDPA通信が下り1Mbpsほど。SmartfrenのCDMA2000通信は最大で0.5Mbps、遅いと0.1M〜0.2Mbpsほどとやや不満の残る速度だった。CDMA2000は、より高速な69万9000ルピア(約6150円)のモデルを選べばEV-DO Rev.B対応で最大14.7Mbpsだそうだが、特定の良電波環境エリアなどでなければ実速度はさほど変わらない気がする。
というわけで、次回訪れたらXLなど他事業者のものも試してみたいが、ジャカルタではやはり最大手のTelkomselのものが無難と思う。いずれにせよ、ジャカルタでも意外と簡単にデータ接続環境/プリペイドSIMカードが入手できる。インドネシアへ行くなら、現地購入にチャレンジしてオトクに使っていただきたい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、2008年は100台以上携帯電話を購入。所有する海外端末数はもうすぐ1000台(2011年9月時点)。
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