Xperiaの半分しか売れなかったGALAXY――ツートップの差はなぜ開いたのか?:神尾寿の時事日想(1/3 ページ)
2013年の夏モデルから販売方針を大きく転換、ソニーとサムスンを「ツートップ」として特別扱いしたNTTドコモ。結果、Xperia AはGALAXY S4の2倍売れ、iPhoneに迫る勢いだ。差が付いた理由、そして次期「一推し」を予想する。
ドコモの「ツートップ戦略」(参考記事)の結果が見えてきた。
ツートップとはドコモが今夏モデルから敷いた販売戦略のことだ。これまで各メーカーを平等に扱ってきた護送船団方式を改め、商戦期ごとに特定のメーカーおよびモデルを「一推し」として選定。そこに広告費や販売支援金を集中させるというものだ。この夏商戦では、ソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia A SO-04E」とサムスン電子製の「GALAXY S4 SC-04E」がツートップとして、ドコモの主力販売モデルになった。
そして夏商戦も終盤にさしかかった7月26日、ドコモが2014年3月期第1四半期(4月〜6月)の決算会見において、ツートップ戦略の現状について実績を公開した(参考記事)。ツートップの一角であるXperia Aの販売台数は約110万台、一方、GALAXY S4は約55万台という結果だった。どちらもAndroidスマートフォンの単一機種として見れば非常に売れているが、ソニーのXperiaがAppleのiPhoneに迫る勢いで売れているのに対して、サムスンのGALAXY S4はXperia Aの売れ行きは半分以下と、“特別扱い”をされている割には振るわない。販売現場に近いドコモ関係者からは、「サムスンをツートップに入れたのは失敗だった」という声も少なからず聞こえてくる。
サムスンのGALAXY Sシリーズといえば、グローバルで見れば「iPhoneのライバル」と評される強力なモデルのはず。それが日本ではなぜ売れなかったのか。そして、ドコモのツートップ戦略は、今後どうなるのか。それについて考えてみたい。
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