中国で始まった“Xiaomi包囲網”(後編)──古豪「Coolpad」「Meizu」の反撃:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
中国の新興メーカー「Xiaomi」が急激にシェアを伸ばしている。大手メーカーも対抗製品の投入を始めているが、Xiaomiの勢いを止めることはできるのだろうか?
→・中国で始まった“Xiaomi包囲網”(前編)──「紅米」「Mi3」を追撃するHauwei
Coolpadはオクタコア低価格の「大神」で攻める
スマートフォンのメーカーとして長い経験を持つ「Coolpad」はXiaomiにはない製品で勝負をかけている。2014年1月に発表した「大神」は7型ディスプレイ搭載タブレットに3Gデータ通信機能を内蔵する。細身なボディーはファブレットをひと回り大きくした印象だ。Xiaomiはこの時点でファブレットもタブレットも発表していなかった。Coolpadは、より大画面を好む中国のユーザーに「スマホ感覚タブレット」としてアピールした。価格も1888元とXiaomiのMi3より安く、また、「8」を並べた価格設定も中国のユーザーをひきつけた。
CPUには、MediaTeのオクタコアCPUを搭載して「大神=オクタコア」をキーワードとして訴求した。実をいうと、QualcommのクアッドコアCPUとMediaTekのオクタコアCPUではベンチマークテストのスコアで差はほとんどない。しかし、オクタコアの「8」という数字を、中国人ユーザーはクアッドコアの2倍という単純なスペックの差として高く評価する傾向にある。中国では「オクタコア信仰」とも呼べるほど注目が高まっている。Coolpadは、「Xiaomiがまだ採用していないオクタコアCPU搭載」で「大神」の注目度を高めることに成功した。
この「大神」と同時に発表して、2カ月後に出荷を始めたスマートフォン「大神F1」は、Xiaomiの「紅米」キラーとなる低価格端末だ。こちらもオクタコアで動作クロックが1.7GHzのCPUを搭載する。「紅米より高スペック」という点をアピールしている。「大神」も「大神F1」もJD.comを使った「限定数」「先行予約販売」を行い購入希望者が殺到、中国メディアも大きく報道した。
大神シリーズのヒットはCoolpadにさらに勢いを与え、2014年6月には5.5型ディスプレイを搭載した低価格ファブレット「大神Note」を発売した。6月18日のオンライン予約受付では、限定数ながらも599元とXiaomiの「紅米Note」より安い価格で提供した。もはや「コストパフォーマンスの高い低価格で高品質なスマートフォン」はXiaomiだけの専売特許ではなくなりつつある。
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