海外プリペイドSIM導入マニュアル――意外とSIMが買いにくい「ギリシャ・アテネ2015年」編:スリとつながらないLTEにご注意を(1/2 ページ)
昨今の経済危機が取り沙汰されるギリシャ。その首都アテネでプリペイドSIMの購入に挑んだが、ヨーロッパの都市にしては珍しく購入しにくい街だった。
古代史とスリの街、アテネ
ギリシャの首都アテネは、約3400年の歴史を誇り、世界でもっとも古い都市の1つと言われる。市内にはパルテノン神殿など歴史的遺産が多数残っており、古代史が好きな人にとっては訪問が楽しい街だろう。日本からは直行便のフライトがないのがちょっと残念なところ。
そんなギリシャの通貨はユーロで、2015年2月末時点のレートは1ユーロが約134円。だがギリシャはユーロ離脱という話も出るほど経済危機状態になっており、今後の動向は予断を許さない。
今回のアテネ訪問は実質1日と言う短期間のため、プリペイドSIMは3つある通信事業者のうち2社しか購入できなかった。各社の店舗を回るのに使ったのは地下鉄で、運賃は均一1.2ユーロ。旅行者なら24時間使える4ユーロのチケットがお得だ。また空港から市内へは地下鉄が8ユーロ、バスが5ユーロとなっている。さてヨーロッパでは実は地下鉄内などにスリが多いのだが、今回筆者も久しぶりにスリ未遂に遭遇してしまった。幸いなことに被害はなかったが、車内でスマートフォンを数台使っていたことから目をつけられたようだ。降りるときに「降りるの?」と話しかけてきて筆者のすぐ後ろに回り込むなど行動も大胆。スリに関してはアジアよりもヨーロッパのほうが被害が多いようなので、訪問する方々も気を付けていただきたい。
今回買ったプリペイドSIMは、VodafoneとWINDの2社。もう1社がCosmoteだ。全社ともLTEもサービスを開始しているが、VodafoneとWINDは3Gしか利用できなかった。またCosmoteが購入できなかったのは店舗が中心部から若干離れていたことと、15時くらいに訪問したところ店が閉まっていたから。ギリシャもシエスタの風習があり、一部の店舗は14時から17時の間くらいに店を閉めてしまう。恐らく訪問したCosmoteの店もちょうどシエスタ時間だったようだ。
またギリシャではプリペイドSIMを買う時にパスポートを提示してのユーザー登録が必要だ。WINDの店ではそれに加えてホテルの住所と、なぜか父親の名前も聞かれた……。そのためか街中でのプリペイドSIMの販売先は通信事業者の店舗となり、アジアのように売店や屋台で売られてはいない。困ったことにアテネ国際空港には通信事業者の店舗やSIM販売所がなく、アテネ到着後、市内に出るまで現地プリペイドSIMを購入できないのだ。
なお市内の地下鉄駅の地上入り口付近に、通信事業者のロゴの入ったパーカーを着ているSIM販売員をよく見かけた。だが身分登録は必要で、路上でパスポートをここで見せるのは不安なため購入は断念。どうやらCosmoteは店舗が少ない分、このような駅での路上販売に力を入れているようだった。
まずは料金がシンプルなVodafoneを購入
アテネの中心地ともいえるシンタグマ広場は、空港からも地下鉄やバスでアクセスしやすく、地下鉄のターミナル駅でもある交通の要所だ。ここにはVodafoneとWINDの店舗があるので、アテネ到着後はまずここでプリペイドSIMを買うのがいいだろう。Vodafoneの赤い看板は、ここアテネでも目立っている。
Vodafoneで購入したプリペイドSIMはデータ専用タイプ。SIM代金が5ユーロ(約670円)で、データ料金は500Mバイト/6ユーロ(約800円)単位で追加可能。なお他にもプリペイドSIMの種類がいくつかあるようだが、「旅行者でデータ利用メイン」と希望するとこのプランを出してくるようだ。SIMのサイズは標準(Mini)とMicro SIM、Nano SIMがそろっているとのこと。
SIMは開通作業とデータ利用分の申請設定が必要だが、店舗の店員が行ってくれた。あとはスマートフォンに装着するだけですぐに利用可能。データ通信はプリペイドでは3Gだけで、スマートフォンのLTEをオンにすると、LTEをつかみに行くがネットワークエラーとなり圏外状態となってしまう。3G固定にしておくのがよさそうだ。なおデータ通信設定は以下の通り。
- APN:internet.vodafone.gr
- ユーザー名:なし
- パスワード:なし
3Gということで通信速度は期待していなかったが、意外なことに30Mbps近くをたたき出した。これはDC-HSDPAに対応しているからだろう。ノートPCなどからのテザリング利用も可能である。なおアテネの地下鉄はトンネル内に電波が飛んでいないのがちょっと残念。地下鉄駅も利用できないところが多かった。
今回は滞在が短いために通信量の追加チャージは行っていない。チャージ用のカードは街中の売店や通信事業者の店舗で販売している。後者はその場でチャージが可能だ。SIMの有効期限は180日で、追加で再延長できる。また通信量の残高確認は、専用ダイヤルに電話して自動応答メッセージで確認するしかないようだ。「1252」にダイヤルするとギリシャ語でアナウンスが流れるが、英語で「英語に切り替えるなら『*』を押して」と流れるので「*」を押すと、あとは英語になる。「1」を押すと残高確認、「2」を押すと残高追加、「3」を押すとデータパッケージなどのオプション申し込みとなる。
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