業界最安値に挑戦し続ける「DMM mobile」の“強み”とは?――4つのポイントから読み解く
すべてのプランで業界最安を更新しており、大きな話題を集めている「DMM mobile」。その挑戦の舞台裏はどのような状況なのか? また品質はどうなのか? ITmedia 取材陣がDMM mobileの真実に迫る。
強みその1:「爆速の決断」と「強い意志」で業界最安に挑戦
ITmedia Mobileの読者で「格安SIM」に関心のある方であれば、一度はこの画像を目にしたことはあると思う。
業界最安値をうたい、他社が打ち出す料金プランを次々と追い抜くMVNOサービス「DMM mobile」で、DMM.comが打ち立てているポリシーだ。
最初に「最安値宣言」を行ったのが、2015年3月26日のこと。この日を境に、他社がDMM mobileより安いプランを発表しても、DMM.comはそれを上回る安いプランへと改定を繰り返してきた。そんな同社の“値下げ履歴”を見ていこう。
3月25日まで | 3月26日 | 5月28日 | 7月2日 | 7月22日 | 9月1日 | ||
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データSIMプラン | ライト | − | − | − | 440円 | 〃 | 〃 |
1GB | 660円 | 〃 | 〃 | 630円 | 〃 | 〃 | |
2GB | − | 770円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
3GB | 1280円 | 850円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
5GB | 1780円 | 1270円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
7GB | 2280円 | 2040円 | 1880円 | 〃 | 1860円 | 〃 | |
8GB | 2780円 | 2140円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
10GB | 3680円 | 2250円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
15GB | − | − | − | 4570円 | 〃 | 〃 | |
20GB | − | − | − | 6090円 | 〃 | 〃 | |
通話SIMプラン | ライト | − | − | − | 1140円 | 〃 | 〃 |
1GB | 1460円 | 1260円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
2GB | − | 1470円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
3GB | 1980円 | 1550円 | 〃 | 〃 | 〃 | 1500円 | |
5GB | 2380円 | 1970円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
7GB | 2880円 | 2740円 | 2580円 | 〃 | 2560円 | 〃 | |
8GB | 3580円 | 2840円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
10GB | 4480円 | 2950円 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | |
15GB | − | − | − | 5270円 | 〃 | 〃 | |
20GB | − | − | − | 6790円 | 〃 | 〃 |
この一覧を見ていただくと、今まで5回も大きな価格変更を行ったことが分かる。例えば現在は1860円で提供されているデータSIMの7GBプランは、3月25日までの2280円から約18%も値下げしている。
同社は「他社様が同等のプランにてDMM mobileより安値で提供する場合、DMM mobileは他社様よりさらにお安い価格でご提供することに挑戦いたします」と宣言しているが、このような値下げは迅速に対応できるものなのだろうか……? という疑問が浮かぶ。
DMM mobileマーケティング担当の宇波真紀氏に聞いてみたところ、料金の追随は「突発的なことがない限り、原則として3営業日以内に決定し、発表するようにしている」という。こうした「爆速の決断」が、DMM mobileの強みの1つではないだろうか。
では、そもそもDMM mobileは、なぜ他社と比較した時の同等プランについて、業界最安値をうたっているのか。宇波氏によると、根底には「品質のいいサービスを、どこよりも安く提供したい」という思いがあったという。
「もともと、サービスをリリースしたときは、データSIM 1GBプランはDMM mobileが最安値でした。参入してしばらくした頃、その他のプランにおいて業界内の価格競争が激しくなり、どんどん他社さんが値下げや高速データ通信量の増量をしていきました」
ITmedia Mobileの連載「格安SIM定点観測」でも紹介しているが、格安SIMの価格やサービス向上の競争は激化している。「これ以上どのように差別化を図るべきか?」はMVNOにとっては頭の痛い問題といえる。
「どうしようかと考えたとき、そこにあったのがもともとのコンセプトです。やはり料金を下げるべきだということで、業界最安値でなかったすべてのプランの価格を値下げしました。そもそも、スマホやモバイルは、長い間使うもので、毎月契約先を変えるものではありません。今後もユーザーの方に安心感を持っていただきたいということもあり、会社の方針もあって最安値宣言を出すと決めました」
この「強い意志」がもう1つの強みといえる。
単に安くして他社を出し抜くというより、利用しているユーザーが常に最安値で使える安心感。これを重視したからこその最安値宣言だったというわけだ。
ユーザーとしては値下げをタイムリーに行ってくれるのはうれしい半面、本当に収益性が確保できているのかは気になるところだ。安ければうれしいのは事実だが、継続性がなければユーザーの不安にもつながる。こうした懸念に対し、宇波氏は笑いながら、「突然1000円下げたりすることはありませんが」と前置きし、次のように話す。
「他社さんもコストがありますから、そう(1000円下げるなど)はならないと思います。その点では、私たちも、あらかじめどこまで下げられるのかは、段階的にシミュレーションを出しています。値下げは、その範囲内でやっていますし、原価を割らない限りは安くということでやっています」
DMM.comの場合、MVNO以外にも幅広く事業を展開しており、利用金額の10%をDMMポイントで還元するなど、MVNOとの相乗効果も狙っている。継続性があり、きちんと原価割れしない価格を打ち出すのも、ある意味当然といえるだろう。
強みその2:通信品質にもこだわり
しかし価格は安いが品質はイマイチでは話にならない。
価格を安くする一方で、MVNOに参入した根底には「品質がいいものを」という大前提もある。品質と聞いてまず思い浮かぶのが、通信品質だ。DMM.comは、満足度の高さに定評のあるIIJをMVNEに据え、技術的には万全の構えで臨んだ。低速時でも初めの一定量だけ高速な通信を行う「バースト機能」や、高速通信の適用を自分で決めることができるON/OFFスイッチをいち早く導入できたのも、そのためだ。
珍しいのは、どこがネットワークの支援をしているのかまで、きちんと公表しているところ。MVNOの事業主体はあくまでMVNO側にあるため、ブランドイメージに気を遣って公開しない会社が少なくない。あえてIIJの名前を出したのも、「やるのであれば、しっかり品質のいいものをお届けしたかった」という思いがあったからだという。
「DMMには、スマホやモバイルの事業で、何かブランドがあったわけではありません。そこは格安SIMで実績のあるIIJさんと協業させていただくことで、しっかり品質のいいものをお届けしたかった。安かろう、悪かろうではダメですからね」(宇波氏)
通信品質の向上は一朝一夕にできるものではないが、そこに全力投球をする「真摯(しんし)な姿勢」も強みの1つだ。
強みその3:サポートには迅速に対応、MNP問題も解決へ
ユーザーの満足度向上には、サポートも重要な役割を担う。
各社の宣伝やメディアの記事などにより、「格安SIM」という言葉はお茶の間にも浸透しつつある。しかし「SIMって何なの?」という初心者も当然ながら多く存在する。こうした状況を踏まえ、DMM mobileではサポートも拡充している。適切な回答を迅速に行うため、ご契約前のお客様専用のお問い合わせ窓口と、ご契約後のお客様のサポート用の窓口をそれぞれ用意した。
「それぞれの窓口をご用意し、対応するオペレーターを分けることで、MVNOを使ったことがない方の質問にも、スムーズにお答えができるようになりました。逆に、DMM mobileご契約後のお客様に対しても、支払時期や方法、使い方などをすぐにお答えできるようになっています。サポート体制を充実させ、スムーズなご案内を心がけることで、ご契約前もご契約後もお客様に安心感を持ってご利用いただきたいと考えております」(宇波氏)
ユーザー視点に立ったサービスを提供してきたDMM mobileだが、まだ課題もあるという。MNPで電話番号自体を利用できない期間が発生してしまうのは、解決すべき点の1つ。「時期は未定ですが、ユーザー自身が任意のタイミングでMNPの切り替えができるように対応していく予定です」(宇波氏)というので期待したい。また、DMM.comが持つ物流網も、まだすべてを生かし切れていない。「自社の物流を生かし、発送の速度をもっと上げること」も、今後の目標だ。
サポートの向上を追求する「誠実な対応」も強みの1つだ。
強みその4:豊富な端末ラインアップ
格安SIM初心者にとっては、「SIM」だけ手に入れても仕方ない。「端末」があって初めて、サービスの魅力を体験できる。
DMM.comは、「これでもか」というくらい豊富な端末をラインアップしており、2015年8月時点で8機種のスマートフォン、1機種のタブレット、2機種のモバイルWi-FiルーターをSIMとセットで販売している。「あくまで端末を売ることが目的ではなく、回線数を増やすことが目的」(宇波氏)だが、ユーザーの好みに合わせ、ラインアップやカラーバリエーションを可能な限り用意するよう努めた。
現在DMM mobileが取り扱う端末の中では、ASUSの「ZenFone 2」の人気が高いという。また、Huaweiの「G620S」については、8月20日にこれまでの価格から9400円もの値下げに踏み切り、一括で1万2800円という価格での販売をスタートした。
ユーザーに「可能な限り選択肢を用意する方針」も強みの1つだ。
DMM mobileは「安い」だけではない
取材を通して、DMM mobileが「安さに並々ならぬこだわりを持っていること」と「単に安いだけではないこと」が分かった。実際にサービスの全容を見ていくと、「料金」はもちろん、「通信品質」「端末」「サポート」という、格安SIMに求められる多くの要素で、高いレベルを目指そうというDMM.comの姿勢を感じられる。そんなDMM mobileの魅力をあなたも体験してみてはいかがだろうか。
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提供:株式会社DMM.com
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月30日
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