「mineo」の海外用プリペイドSIMを香港で試す――海外プリペイドSIM導入マニュアル:約100の国と地域に対応(1/3 ページ)
MVNOの「mineo」が販売する海外用プリペイドSIMは約100の国と地域に対応。そのうち約40のエリアでは30Mバイト/650円からの安価なデータパックが利用できる。その使い勝手を試してみた。
低料金を武器にユーザーを増やしている日本のMVNO事業者だが、データ通信の国際ローミングに対応しておらず海外旅行時に使うことができない。そこでケイ・オプティコムが運営する「mineo」は、海外で利用できるデータ用のプリペイドSIMを発売した。データ通信にも対応し、年に数回海外旅行へ行く人には便利なSIMだ。
しかし10月16日から一時的に販売を休止しており、現在は購入できない。ケイ・オプティコムによると、ローミングサービスを提供するCubic Telecom(アイルランド)のシステム不具合により、米国全土(アラスカ、ハワイ、グアム、サイパンなどの全ての領土を含む)で通信ができないためだという。販売再開は11月初旬を予定しているとのこと。
もちろん既に販売されているSIMは、米国以外の場所で問題なく利用できる。今回のレビューは販売休止前に香港でパッケージを購入し、実際に通信した様子をお届けしよう。
世界約100か国対応。安価なデータパックは約40カ国で利用可能
mineoが販売する「海外用プリペイドSIM」は、世界100カ国以上で利用できるプリペイドSIMだ。販売価格は3000円(税別、以下同)。これにデータ料金を追加して海外で利用する。
購入する際はmineoの利用者である必要はなく、mineoの国内サービスとは全く別のものとして販売している。つまり海外利用専用のプリペイドSIMであり、SIMロックフリーのスマートフォンや、ドコモなどのスマートフォンでもSIMロックを解除すれば、この「海外用プリペイドSIM」を入れて、海外で通信ができる。
なお渡航先での通信方式はLTEに非対応で3Gのみ。周波数帯域は、アメリカや中南米がW-CDMAの850/1900/2100MHz帯、その他の地域ではW-CDMAの2100MHz帯のみ。また普段自分が使っているSIMをこの海外用プリペイドSIMに入れ替えて使うため、同じスマホでも電話番号は変わってしまう。LINEを使う場合この点は注意が必要だ。
SIMには有効期限があるが、1年に1度でも料金を追加・データパックチャージを購入すれば、SIMの有効期限は永続的に延長される。1年間何もしないと利用できなくなるため、その際はmineoに連絡して再開の手続きが必要だ。
サービス概要をまとめてみよう。
- SIMロックフリースマートフォンに入れて利用できる海外用のプリペイドSIM
- mineoの日本のサービスとは全く別のサービス。誰でも購入できる
- 普段自分が使っているSIMは利用しない
- 有効期限は1年1度チャージすれば永続利用できる
- お得なデータパックは7地域約40カ国で利用できる
mineoの海外用プリペイドSIMの最大のメリットは、海外出発前に日本で購入できることだろう。海外旅行先、出張先で時間がないときは現地の空港や市内の通信事業者の店舗へ立ち寄る暇もないことが多い。あらかじめ日本でプリペイドSIMを買っておけば現地で購入する手間も省ける。また対応国が100カ国以上と広く、この1枚を持っていれば世界中で利用できる。
その反面、国や地域によって通信料金が割高になるので注意が必要したい。海外用SIMには30Mバイト/650円、100Mバイト/1480円、500Mバイト/5480円、1Gバイト/9800円(いずれも30日間有効)のデータパックチャージが用意されているが、これが利用できるのは約40カ国。データパック課金の対象国であれば使い勝手は高いだろう。
データパック料金の対象は以下の7つの国とエリアだ。ヨーロッパは33カ国をまとめて1エリアとしている。
- 中国
- 香港
- 台湾
- 韓国
- タイ
- 米国(米国本土・アラスカ・ハワイ)
- ヨーロッパ(ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オーストリア、英国、クロアチア、チェコ、オランダ、ベルギー、フィンランド、ハンガリー、ポルトガル、スウェーデン、スロベニア、ポーランド、デンマーク、ルーマニア、ブルガリア、アイルランド、スロバキア、リトアニア、ギリシャ、エストニア、ラトビア、キプロス、ルクセンブルク、マルタ、スイス、ノルウェー、アイスランド、モナコ、セルビア)
一方それ以外の国では従量課金となってしまい、料金は割高だ。従量課金の国へ行く場合は現地での利用は最小限にとどめ、現地でプリペイドSIMを買うか日本のMNOのSIMで国際ローミングしたほうがよいだろう。とはいえプリペイド方式のため、あらかじめ入れた残高がゼロになればそれ以上は使えなくなるので安心ではある(残高のオートチャージを設定しない場合)。
各国で利用できる通信は3Gのため、最大通信速度はHSPAでも42Mbps止まりと、普段4Gを使っていることを考えると速度は遅い。また香港や台湾、タイではLTE対応のプリペイドSIMがこのmineoのSIMよりも安く買える。そのため渡航頻度や渡航先によって、mineoの海外用SIMと現地プリペイドSIMを使い分けるのもいいだろう。
例えば台湾に夜中に到着し、ひとまず翌日の朝までSNSを利用したいならmineoに30Mバイト分をチャージして利用し、翌日に現地のプリペイドSIMを買う、といった使い方だ。
一方ヨーロッパに行く人にとっては、33カ国を1枚のSIMで、また1度のデータパックチャージで利用できるメリットは高い。例えば1Gバイト/9800円をチャージしておけば、複数国を跨いだ旅行でも30日以内ならそのまま使うことができる。よく行く国のプリペイドSIMはキープしつつ、それ以外の国ではmineoの海外用プリペイドSIMを使う、という使い分けもいいだろう。
以上をまとめるとmineoの海外用SIMは、
- 現地でプリペイドSIMを買う時間がない
- あらかじめ日本でプリペイドSIMを買っておきたい
- MVNOに乗り換え自分のSIMが海外で利用できなくなった
- 年に数回しか海外にいかないが、海外用プリペイドSIMを持っておきたい
- ヨーロッパを周遊する
- 現地でプリペイドSIMを買いたいが、到着時間が夜中で購入できない(店が開いていない)
といったニーズに適したプリペイドSIMといえる。
その反面、以下の利用には向いていないだろう。
- データパックチャージ非対応の国で、数100Mバイト単位の通信を頻繁に行う
- 現地のプリペイドSIMを既に持っており、よく利用している
- 現地プリペイドSIMの買い方や使い方に慣れている
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