父 そういえば、おまえの成績表って見た記憶がないぞ。
娘 中学ではそこそこ勉強できて、それで県内トップクラスの進学校に行ったら落ちこぼれた……。成績表は見たかったの?
父 いや、別に……。そりゃ、(成績が)いいに越したことはないけど、自分だって優秀な学生じゃなかったし、我が娘といえど人にえらそうなことはいえなかったから。
娘 子供の成績がよいことは、うれしいものなの?
父 それはそうだろ。
娘 じゃあ、悪い成績だったら?
父 「うん、やはり俺の子だな」って思うだけ(笑)。自分がそんなにオツムが立派な人間じゃないから。
娘 実は、パパの一言にすごく救われたことがあって。
父 なんだ?
娘 大学4年生時に卒論を落として留年しちゃったでしょ。このヤバイ事実をパパにどう報告するかをまずママに相談して。最初はママも、「マジか……」って絶句したんだけれども。
父 うん。
娘 で、パパに恐る恐る報告したら、「まあ、難しい大学だからな、卒業に5年くらいかかるよな」って言ってくれて、すごく救われたの。
父 覚えてないぞ。
娘 ちょっと! そんな昔の話じゃないよ。ほんの2〜3年前のでき事だよ。思い切り肩透かしくらった気分だよ!
父 そんなことあったっけ。まあ、お前にガミガミ怒ったことはないな。だって、母さんと一緒に怒ったら、ステレオになってしまうでしょ。だから意識的に怒らないように努めたつもり。
娘 手も上げたことはないよね。
父 そうだな。お前は別に悪い子じゃなかったしな。
学歴は人様に吹聴することではないという父の考え
――娘さんを誇りに思ってることは?
父 やっぱり早稲田に受かったこと、ですかね。わざわざ人様に吹聴するようなことではないけど、やはり立派なことだって思ってました。
娘 早稲田に進学したこと、家族以外にはほぼ話したことがないよね。
父 (拳を鼻の上に乗せて)だって、こう(てんぐ)にはなりたくなったから。
娘 宇都宮の田舎とかだと、「●●●さんのお宅は、お子さんがまだ小さいのに●●●の習い事をさせている。生意気な……(ヒソヒソ)」みたいな陰口をたたかれるって面がなきにしもあらず、なんだよね?
父 なくはないと思う。早稲田は立派な大学だし、そのつもりがなくても、人様に尊大な印象を与えてしまいかねない。だから、外では話題にしない。でも、内心はお前のことを「よくがんばったな」って思っていたよ。
娘 入学のための貯金もしてくれていたよね。一人暮らしは許してくれなかったけど(笑)。
父 あー、その話が出たか……(苦笑)。
「その話」とは何なのか? 続きは次回!
今回の答え合わせ
Q:娘に自分の期待や要望を伝えようとしていましたか? それとも心のなかで思っていただけ?
伝えようとしたけれど、うまく伝えられなくて……心のなかでだけ、思っていた。
Q:子供〜学生時代に父の期待&要望を感じ取っていましたか?
父は何も言わないし、期待とか考えたことがなかった。偏差値の高い学校に行ったら喜んでくれるかな、ってくらいです。
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