「なんでお前が生徒会長に!?」でもひそかに応援
父 父さんは高卒で仕事を始めたんだ。兄貴が消防署に勤めていて、偶然に消防庁職員の募集を読んで、勝手に受けて決めたよ。家族には相談しなかったね。
娘 自分で勝手に進めちゃうって意味では、親子で似ているね。
父 でも、自分には消防隊員は向いてないと思って、すぐ救急に逃げたね。火災現場で火の中に入る仕事は避けてた。閉所恐怖症なんだ。
娘 なんだそれ(笑)。
父 それで、救急の資格を取って異動した。
娘 勉強したんだよね。
父 うん。でも、勉強が不得意だから一番ぺーぺーで卒業したよ(笑)。まあ、管理職として人に指示するのが上手じゃないし、そういう仕事は向いてなかったな。だから、昇進はしていない。
娘 向いてない?
父 人にああしろこうしろって命令するのが嫌いな性分なんだ。父さんは……そういう人間だから。
娘 いつからそう思っていたの?
父 小さい頃からだよ。自分は学力的にあまり優秀な人間じゃなかった。ただね、自分で言うのもおかしいけど、周りを見て気配りする才能はあるなって。周りがどうしてほしいとかを察する力とかね。人にああしろこうしろって言わず、どうしてほしいのかって察して動くタイプなんだ。
娘 いまの話を聞いてて、私はパパとは正反対の性格だと思った。私は人に指示したいわけじゃないけど、「これやりたい」って物事を見つけるのが得意で、人を巻き込むのが得意。高校生のときは生徒会長も務めたくらいだしね。まぁ、偏差値は低かったけど……(笑)。
父 女子校だったな。周りは優秀な子らばかりだったんだっけ。
娘 そう。だから劣等感はあった。尊敬する先生に「やってみれば」っていわれて立候補したのがきっかけ。1年生の5月から副会長、そのあと生徒会長になって、3年間生徒会に関わり続けた。
父 長かったな。
娘 就任してからの事後報告だったけど、どう思ってた?
父 「なんでお前が生徒会長に!?」って思ってたけど、やってみたいなら、やればいいじゃないって歓迎していたよ。親としては、むしろうれしい。頑張れよって思ってた。ただ、偏差値が低い落ちこぼれだとは知らなかったが(笑)。
価値観のスレ違いが続く鈴木親子ですが、それでも娘さんに父の愛情はしっかりと伝わっている様子。序盤の緊張感も取れ、笑顔になる回数も増えてきました。
今回の答え合わせ
Q:「同じ勤続先に長年勤めあげること」の価値は?
人それぞれの考え方があると思うが、私の場合は高校を卒業し、すぐに今の仕事に就いた。入社してすぐに、この仕事が自分に向いていないことを実感したが、43年間勤めあげた。仕事とは我慢の連続の中のわずかな楽しみ、仕事外の楽しみ、そして家族の幸せだと思う。
Q:「自分の考えや周囲の状況に合わせて転職すること」の価値は?
我ながらワガママな選択だな、とも思います(笑)。でも動かずに後悔はしたくないタチなので、今後もこりずにそのとき一番良いと思った道を選び続けたいです。転職時に試行錯誤した経験にも価値があるのではないかなと。
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