成人した娘とその父が、(娘が)思春期だったころを回想しつつ本音で語り合う連載「育児の答え合わせ」。脳内で考えてはいたけどいえなかったあんなこと、つい口を滑らせて誤解された余計なひとこと、恥ずかしくていえなかった言葉を、少し照れながらも赤裸々に語り尽くします。
- そもそものきっかけ:育児の答え合わせ 〜どうして我が家はこうなった?〜
今回のテーマは「告白」。これまで、進学、男女交際、仕事&働き方、結婚など、さまざまなテーマで語り合ってきた鈴木親子ですが、じつは筆者は「まだ全てを語り尽くしていないのでは……」と感じていました。
私の野生の勘が、「腹を割って何もかも話しつつも、まだ隠し玉を持っている気がする」と囁いてくるのです。そしてそれは当たっていたのでした……。
父(60歳)
宇都宮在住で都内に勤務する実直な公務員。勤続42年で3週間後に定年退職を迎える。娘とは高校生のころからほぼ会話がない。
娘(25歳)
都内のIT系企業で働く社会人3年目のビジネスウーマン。高校3年時のある事件をキッカケに、父と会話が途絶えて今に至る。
9歳年上の彼氏と同棲します
娘 この話し合いも終盤になってきたから、パパに伝えておきたいことがあるんだけど。
父 なんだ?
娘 彼氏と同棲しようかなと思ってる。
父 !?(カッと目を見開くも、声が出ない)
娘 近日中に。
父 き、近日って……いつから?
娘 来月から。
父 まさか、場所も決まってるの?
娘 大体ね。いま住んでいる場所からそう遠くないとこかな。
父 同棲って……それだけじゃないんでしょ。先のことは考えているんでしょ。
娘 そうだね、もう5年付き合っているし、いろいろ考えてはいるよ。
父 5年になる交際相手がいることもいま初めて知った……。同棲のこと、母さんには言ってあるの?
娘 まだ。彼と同棲の話をし始めたのがまだひと月前くらいだし。
父 母さんよりも父さんが先に報告を受けた、初めてのケースかもしれん……。
娘 そうかもしれないね(笑)。
――雷は落ちますか? お怒りですか?
父 それはないです。うすうすながら、そういうことが起きるような予感はあったので。
娘 そうなんだ。
父 ばあちゃんと母さんが認めてる人だから、大丈夫だろうけど、会ったことがないから情報がほぼゼロなんだ。えっと、たしか彼はけっこう年上の人じゃなかったっけ?
娘 9歳上の34歳だよ。
父 34歳か……。仮に今年めでたく結婚して、翌年に子供が生まれたとして、お前が生まれたときの父さんの年齢(35歳)か……ううむ。
娘 なに勝手に計算してるのよ。
父 だって、教育資金の問題とかあるじゃないか。父さんは子供2人を大学に通わせていた頃は、まったく貯金できなかったよ。というか、むしろ赤字できつかった。
娘 ありがとうございます……。
父 父さんが60歳になる前に、二人とも卒業させられてよかった。
娘 子供ができたら、教育資金は早めにコツコツためておかないといけないんだよね?
父 そうだよ! 子供ができたら、しこたまお金がかかるんだから! 覚えておいてよ。
――両親が必死に家計をやりくりしていたのはご存じでした?
娘 全然知らなかった。生活や学業にかかるお金は、きちんと滞らずに支払われていくことが当然だと思ってた。
父 でも今は……?
娘 働き続けてお金を稼ぐことの大変さ、ありがたさを社会人になってようやく知れた。
父 とくに教育にはお金がかかったよ……。
娘 自分が働いて稼いだお金がさ、自分のためではなくて家族や子供にドンドン使われていく気分はどんなだった?
父 別になんとも。だって自分の家族のためだからね。
さらなる驚き
――彼氏さんは、お堅い仕事に就かれているんですか?
娘 ええ、堅い仕事“でした”。
父 ……過去形?
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