12時間、休む暇なし
午前8時。
最初のお客さまを迎え入れた瞬間から、新型iPhone発売の祭がスタートします。
事前の予約状況、そして発売日当日の入荷状況にもよりますが、担当した店舗が「旗艦店」と呼ばれる、お客さまも在庫も集まりやすい店舗だった場合、この日から数日間は悲惨な状況が続きます。
いつもならお店に立ち寄ったお客さまに声をかけ、やっとのことで獲得する1台の契約ですが、新型iPhone発売のときは「買うのが決まっているお客さま」が大挙して押し寄せてきます。
最近では「予約番号に応じて受付時間をあらかじめ決めておく」といった混雑緩和を事前から告知・案内するようになっていますが、それでも発売日からの数日間は一切休憩に入る間も与えぬほどのお客さま対応に追われます。
過去を振り返ると、午前6時に店舗に出勤し、午前8時の開店まで普段と違うオペレーションについての周知・確認を行い、開店してお客さまを迎え入れてから一息つけたのが午後6時、ということもありました。
一息つけたとしてもそれは「お茶を口にする」程度の時間であり、そこからその日の営業終了時刻まではまた休みなく、ずっとお客さまの対応に追われます。
1日が終わって営業終了(帰れるとは言っていない)
この怒濤(どとう)の1日を終え、店舗の営業終了時間を迎えても、これで終わりではありません。
通常通りの閉店作業はもちろん、発売日の翌日に受取りを希望されているお客さまも多数いらっしゃるため、その準備が待っています。
なんだかんだでこうした翌日の準備までも終えると、帰宅は終電です。
そしてその翌日も、いつもよりも早い時間からお店が開くことが決まっていたりすると帰って少し寝て、そして朝早くから出勤、そして休憩する間も与えられずに、閉店までずっとお客さまが待ちわびた新型iPhoneをご用意する1日が待っているのです。
それでも「祭り」は楽しい
こうして新型iPhoneの発表から発売までの苦労を思い出してみると「つらかった」という思いも確かにあります。
しかし、新型iPhoneをお持ち帰りしていったお客さまの笑顔と、祭りが終わった後の結果(販売台数など)を思い出すと、つらかったという思いよりも充足感ばかりが心を満たします。
この「祭り」に販売で携われたのは、ケータイショップ店員をやっていて良かったと今でも思える出来事でした。
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