開発陣に聞く「Xperia XZ2/XZ2 Compact」 新デザインの意図、イヤフォンジャック廃止の理由は?:Mobile World Congress 2018(1/3 ページ)
ソニーモバイルがMWC 2018で発表した新製品「Xperia XZ2」と「Xperia XZ2 Compact」の開発者インタビュー。デザインからカメラ、オーディオまで幅広く聞いた。2眼カメラを搭載したモデルはいつ登場するのか?
ソニーモバイルコミュニケーションズは、バルセロナで行われた「Mobile World Congress 2018」に合わせて行われたプレスカンファレンスで、Xperiaの新フラグシップ「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」を発表。カンファレンス後、Xperiaの開発陣が、製品の企画意図や機能について説明した。
超高感度のデュアルレンズカメラをプロトタイプで体感
まず、ソニーモバイルコミュニケーションズ UX商品企画1部 商品企画課の染谷洋祐氏が、プレゼンテーションの最後に明らかにされた、超高感度撮影をスマホで可能にするデュアルレンズカメラ技術について説明した。
ソニーモバイルは、デュアルレンズのカメラと、それを制御する専用のチップセットを開発している。これを使うことによって、動画ではISO12800、静止画ではISO51200といった、「APS-Cセンサー以上の商品群でしか実現できていないような、極めて高いISO感度」をスマホでも実現する。
このカメラを使うとどんな映像が撮れるのか、プロトタイプで体感させてもらった。会場のソニーブース内に作られた部屋の電気を消し、PCやスマホのディスプレイも消灯。ほぼ真っ暗闇の中に市販の家庭用プラネタリウムで天井に星を映し出し、それにプロトタイプのカメラを向けてディスプレイ上に表示させるというデモを行った。
筆者のカメラでは撮影することができなかったが、現在のスマホでは、まず映らないような暗いプラネタリウムの映像が、プロトタイプの画面では星座を表す線をしっかり捉えていた。真っ暗な環境で撮影するとノイズが目立ってしまうが、この2眼カメラではクリアな映像を実現するという。
このカメラが、いつXperiaに搭載されるかは明らかにされていないが、「そう遠くない未来に出したいという前提で開発を進めている」(染谷氏)という。
フラットから流線型に大きくデザインを変更
Xperia XZ2は、5.7型フルHD+のHDR対応ディスプレイを搭載し、世界で初めてスマホで4K HDR動画の撮影に対応。コンテンツの音に合わせて本体が振動するダイナミックバイブレーションシステムやSnapdragon 845プロセッサを搭載し、Qi準拠のワイヤレスチャージに対応している。一方、Xperia XZ2 Compactのディスプレイは5型で、Xperia XZ1 Compactより大きな画面になったが、ダイナミックバイブレーションシステムやQiには対応しない。
新機種と同時期に発売するケースは、フリップを閉じても画面操作できる「STYLE COVER TOUCH」、スタンドになる「STYLE COVER STAND」。また、新たに有線でも無線でも使えるヘッドセット「WIRED AND WIRELESS HEADSET」を用意する。XperiaのUSB Type-C端子に挿すとハイレゾ音源を再生できるようになる。Bluetooth接続でも使える。「WIRELESS CHARGING DOCK」はQiに対応した充電台で、専用のケーブルと接続すると高速充電が可能だ。
Xperia XZ2/XZ2 Compactでは、従来の板のようなフラット形状から流線型のデザインに大きく変更された。デザインチームを取りまとめているソニー クリエイティブセンターの飯嶋義宗氏がデザインコンセプトについて説明した。
歴代のXperiaは、2016年まで縦に持っても横に持っても同じように使える「オムニバランスデザイン」、次が現行モデルまでのデザインで、こちらは「ループサーフェス」呼ばれている。今度のデザインのコンセプトは「アンビエントフロー(Ambient Flow)」。「テクノロジーが人間や環境に溶け込んでいく様を表現し、流動的な形状と美しいマテリアルの融合を目指している」(飯嶋氏)。
ループサーフェスデザインでは「Blue story」というカラーコンセプトでカラーマテリアルが展開されたが、今回からはアンビエントフローという新コンセプトのもと、「Flow of Light」というキーワードを設定している。さらに、Xperia XZ2は「Liquidity of Light(光の流動)」、XZ2 Compactは「Diffusion of Light(光の拡散)」というカラーマテリアルテーマを設定している。
XZ2の18:9のディスプレイは、3Dガラスで包み込まれ、「人に寄り添うデザインをダイレクトに表現」しているという。背面は「3Dガラスを通った光が、反射を伴ってベールをまとったような」表面処理。カラーバリエーションは、Liquid Silverが水面の反射のようなシルバー、Liquid Blackは闇夜の水面のようなつややかなブラック、Deep Greenは深海のような青みを帯びた深いグリーン、Ash Pinkは、優しい、柔らかいピンクを表現しているそうだ。
Xperia XZ2 Compactは、XZ1 Compactと同じ幅65mmの中に、5型のフルHD+ディスプレイを搭載。背面パネルは透明素材が何層にも蒸着処理され、奥行き感がある。表面はシルキータッチ処理を施し、フロストガラスのような手に気持ちいい触感になっている。
カラーは、Blackが夜の光に照らされた深い空気感、White Silverは雪の反射、Moss Greenは木漏れ日の光と樹木のグリーン、Coral Pinkは淡い夕日の光のような優しいピンクを表している。
デザインを大きく変更した理由について、染谷氏はユーザーの声や業界全体のトレンドを意識したと語った。「手になじむ流線型や全画面化というトレンドの中で、新しい世代のXperiaを見てみたいというユーザーの声が非常に高まっている。そういった中で多くのディスカッションを経て、新しい取り組みを行っていった。これは1つ目の変化点なので、今後どうしていくかは、引き続きユーザーの声をしっかり聞きながら反映していきたい」(染谷氏)
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