Huaweiがスマホで世界一になる日、新モデル「P20」への期待 リチャード・ユーCEOが語る:Mobile World Congress 2018(1/3 ページ)
日本メディアがHuaweiのコンシューマー・ビジネス・グループのCEO、リチャード・ユー氏と面会。グループインタビューを実施した。リチャード氏は、ライバルに対するHuaweiの強みや、PC事業に参入した理由、次期スマホ「P20」について語った。
スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress 2018にて、Huaweiのコンシューマー・ビジネス・グループのCEO、リチャード・ユー氏に面会できる機会を得た。取材は2018年2月16日(現地時間)、日本のメディア向けのグループインタビューの形式で、ユー氏は中国語で回答し、通訳を介して行われた。
ユー氏 日本のメディアのみなさま、いつもありがとうございます。日本はHuaweiにとって重要な市場で、なおかつ重要なパートナーとして見ています。なぜなら、弊社の製品には、多くの日本製の部品が使われているからです。例えば、ソニー製のカメラセンサーやバッテリー、JDI(ジャパンディスプレイ)製のディスプレイなどです。他に、無線の分野でも日本の製品を使っています。村田製作所、パナソニック、京セラなどとも長期的なパートナーシップを結んでいます。
私はHuaweiに入社して25年になります。入社した当初から、創設者でCEOの任正非(レン・ジェンフェイ)は「われわれは日本を見習うべきだ。日本の技術を学んでいかなければならない」と説いていました。私自身はもちろん、私の子どもも日本が大好きです。ですので、今後もっと日本のみなさまと公流を持たせていただいて、いろいろなことを学んでいきたいです。
「通信」「ソフトウェア」で勝っている
―― グローバル市場でスマートフォンのシェアを伸ばしていますが、AppleとSamsungにはない、Huaweiの優位性とは?
ユー氏 Huaweiは、通信を本業としています。それが弊社の強みです。例えば、HUAWEI Mate 10 Proは世界で初めて4.5Gに対応させたスマートフォンで、最大1.2Gbpsで通信できます。発表した時点では、他社より半年以上先行していました。5Gを迎える今、5Gに対応する製品も他社に先行して発表しています。また、グローバルで多くのネットワークを手掛けているので、通信に対して非常に深い理解を持っています。自社でチップセットやモデムの開発もしており、ネットワークとよい互換性を持たせることができます。
他のアジアの企業と比べると、ソフトウェアの面で勝っていると思います。自画自賛になりますが、アーキテクチャやシステムデザインは優れていると思いますし、工業デザインにも長けていると思います。他社では、自国のデザイナーを起用することが多いようですが、弊社では、欧米にデザイン専門のチームを立ち上げて、欧米の良いところを取り込んでいます。フランスのパリ、イタリアのミラノ、イギリスのロンドンにも拠点を持っています。
また、米国の企業と比べると、ハードウェアの面で優位性があります。アジアの企業はハードウェアを得意とする会社が多く、部品を作る能力も高いです。米国企業よりも先に、新しい技術を実現できる環境にあります。しかし、社名は申し上げられませんが、米国の企業から見習うべきものもあります。それは、例えばビジネスモデルやエコシステム。そして、イノベーション能力もそうです。
さらに、他の企業と比べると弊社の社員が非常に勤勉であることも長所です。他のアジアの企業は、自国の人を起用することが多いのですが、弊社の場合、いろいろな国からいろいろな人材をマネジメント職に招き入れて、活躍してもらっています。それも、グローバル化における強みとなっていると自負しています。
さらにもう1つ成功の秘訣(ひけつ)をお話しすると、弊社は欲張りではないんですね。パートナー企業も共にもうけが出るように利益の共有をしています。開発、製造だけでなく、リテール(小売)の分野でも、しっかりと利益を分け合っています。ですので、弊社は利益率は低いんです。しかし、それが長期的な発展につながっています。
AppleとSamsungを抜くのはいつ?
―― Huaweiはスマートフォンの世界市場シェアでSamsung、Appleに続いて3位ですが、その2社を追い抜くのはいつになりそうですか? また、現状、Huaweiに足りないものがあるとすれば何でしょうか?
ユー氏 この分野に参入してから、まだ数年しかたっていませんし、ブランディングはまだまだです。とはいえ、当初は中国市場でトップ10にも入らなかったのに、今ではグローバルでトップ3の地位を確立しました。中国には「上を目指すと中、中を目指すと下になる」といった言い回しがあります。つまり、1位を目指しても2位か3位にしかなれないことがあるが、2位や3位を目標にすると、さらに下の順位になってしまう、ということ。ですので、常に一番を求めなくてはなりません。人よりも、もっと優秀になろうと目標を持たないと、相手を追い抜くことはできません。
私はもともと無線ネットワークのチームにいましたが、当初はまだ能力が低く、競争力も低かったのですが、その後、業界のトップであるEricssonを抜いて、今では、米国市場に入っていないにもかかわらず、売り上げも利益もどちらも世界1位です。
2社をいつ追い抜くかということですが、私が直接答えるのはふさわしくないのかもしれませんが、私の期待と目標として聞いてください。早ければ、この1〜2年で2位になれるのではないかと。ただし、1位になるためには4〜5年はかかると思います。もちろん、さらに早まったり、延びたりする可能性はあるのでしょうが……。
ですが、業界でライバル企業を抜くことは非常に難しいです。ブランディングありきですし、しっかりと消費者に気に入られて、信頼を得られるようなブランドにしなければいけない。また、ライバルよりも優れた革新的な製品を継続的に出すことも重要です。
私自身も、そんなに控えめな人間ではないので、チームメンバーに対して非常にチャレンジングな目標を課しています。実現不可能と思われる目標であっても、みんなで努力することで、次々とそれを実現しています。高い目標を立てることで、闘志を呼び覚まして、不可能なことを可能にしていきたいです。
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