10月26日に発売される「iPhone XR」。「iPhone XS」の廉価モデル的位置づけですが、iPhone XSと同じ「A12 Bionic」を搭載するため基本性能は「iPhone X」よりも高く、イエローやコーラルといったポップなカラー6色から選べるなど、iPhone XSよりもiPhone XRを待っていたという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「iPhone XRをキャリアで契約したら2年間で総額いくらかかるのか」ということに焦点を当てます。料金の試算は、「人気の大容量プラン」「段階制データプラン」の2種類で計算しました。
試算条件
今回の試算は、
- iPhone XR 64GBを分割払いで購入(24回、または48回)
- 20GB以上のデータ定額、もしくはデータ通信量に応じて料金の変わる段階式プランを契約
として、料金を試算しています。なお、価格は全て税込表記です。
また、各社が実施する「使用料から1年間、○円を割り引く」といったキャンペーンを適用するに当たり、基本料金プランなど、なるべくサービス内容の近いモノを各キャリアから選んで試算しています。
固定回線のセット割引については、「家族割引など複数台の契約で割引額が変わる」「段階制プランのデータ利用量で割引が変わる」など、割引条件が会社ごとに異なり、比較のために条件をそろえることが難しいため、今回の試算条件には含めていません。
20GB以上のデータ定額プランに加入した場合
高速データ通信が月間20GB、またはそれ以上利用できるデータ定額プランに加入した場合の料金は以下の通り。
3社の中で最も安くなるのはauで、2年間の通信料と端末代金の合計は20万1246円となります。これはiPhone XS 64GBで過去に試算した際も同様で、本体価格や各種キャンペーンの金額・適用期間で他社よりも優位な設定になっているからです。ただし、後に触れますがauとソフトバンクの端末代金は48回払いであることには注意してください。
なお、20GB以上のプランで比較していますが、ソフトバンクは20GBのプランが選べず、大容量プランとしては50GBの「データ定額50GB+」しかないため、50GBの料金で比較をしています。最安であるauとの差額が1000円〜1500円程度となることを考えると、データ容量重視であれば3社の中では最も安いといえます。
この評価基準では最も料金総額が高くなるNTTドコモですが、2社との違いは「本体の分割払いが2年で終わる」ということ。2年間立った時点でauとソフトバンクには端末代金の残債が2年分=約5万円残っているため、満2年の更新月に解約する場合には残債がなくなっているドコモが最安だとも考えられます。
段階制データプランに加入した場合
続いて、利用したデータ通信量に応じて料金が決まる、段階制データプランに加入した場合の料金。
こちらも試算結果で最も安いのはauの13万9940円という結果に。1年目のみ適用されるキャンペーンの適用終了後でも最も安いため、2年間の料金の総額も最も安くなっています。
また、表中の料金は「1GB以内の利用」のものですが、データ通信量が3GB、5GB、それ以上と増えていった場合でも、auが最安なのは変わりありません。
スマートフォンでデータ容量を1GBの最低ラインに抑えておくのはなかなか難しく、実際には少なくて3GB程度、多くても5GB以内に抑えておきたいというのがミニマムな使い方になると筆者は考えています。
もし3GB以内に収めようと考えた場合、2GBの時点で8000円を超えるソフトバンクが最も高くなってしまうのですが、5GBまでで見ると3社の料金差はそこまで大きくないため、ライトユーザーであればどの会社を選んでも大きく得をする・損をするということはないといえます。
5GB以上の上限まで使った場合、auと比較して1000円以上高くなるNTTドコモは割高になります。
ソフトバンクは20GB以上の定額プラン同様に、段階制プランの上限は50GBまで使えることから、3社の中では最もお得なプランですが、もし毎月それほどギガを消費するのであれば、先に紹介した定額プランに変更した方が安く収まります。
安さの裏にある「分割回数の違い」
最新機種であるiPhone XRを購入したとき、どの会社を選んでも大体月額1万円前後で済むのはまあまあ納得できる額ではないでしょうか。
ただ、注意したいのが「分割回数」です。一部で「4年縛り」などと批判的な意見も出ていたように、auとソフトバンクの2社の月額料金は高額な本体代金を48回払いで購入した場合のものになっています。
2年間利用した後、iPhone XRを返却し、新しい端末に機種変更することで残った分割支払いの半額を免除する「アップグレードプログラムEX(au)」「半額サポート(ソフトバンク)」といったサービスも提供されていますが、使っていたiPhone XRを手元に残しておきたい場合、残った本体代金の半額はそのまま契約者の負担になります。
あらかじめ24回払いを選択して比較した場合は、本体代金が試算結果内でそのまま2倍になり、auやソフトバンクよりドコモの方が安くなります。
auやソフトバンクでの支払総額が安くなるのは、2年後に端末を下取りに出して乗り換える契約形態のときのみだと知っておくのが重要です。
また、今回の試算結果に含めていない「家族複数人で同一の携帯電話会社を使う」「固定回線のセット割」を考慮すると、例えばデータ容量はそこまでいらないとなればNTTドコモの「シェアパック」を利用した方が、世帯あたりの料金は最安となる可能性があります。大容量も割引も重視する場合、ソフトバンクの「みんな家族割+」「おうち割 光セット」を組み合わせれば、一人当たり最大3240円の割引が受けられるなど、今回の試算結果とはまた違う「最安」も見えてきます。
今回の試算結果とiPhone XSでの結果を突き合わせると、分割払いでの購入では、実はiPhone XSを選んだ場合と容量によっては毎月の料金の差がそこまで大きくならないケースも出てきます。また、先に述べた通り、家族複数人・複数台で固定回線とのセット割などを加味すると同じプランでも最安となる事業者が異なってくる可能性は大いにあります。
本体代金の総額も決して安くはなく、購入後に他の会社へののりかえを行うのも容易ではありませんので、できることなら一度ショップなどで家族全員分の試算を行ってもらい、のりかえか、機種変更かを判断するのが、できるだけ安くiPhone XRを利用する近道になるでしょう。
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