NTTドコモが5Gを始めるも150箇所の「スポット」から――やる気のないエリア展開に尻を叩くのは9月登場のiPhone 5Gか:石川温のスマホ業界新聞
大手キャリアの1番手として、NTTドコモの5Gサービスが始まった。その初期エリアは「スポット」と言うべきもので、非常に狭い。エリア展開を加速するのは、AppleのiPhoneなのだろうか……。
NTTドコモは3月18日、5Gサービスを3月25日により開始すると発表した。
意外だったのが対応ネットワークだ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年3月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
「エリア」というよりも「スポット」というのが正しいと思えるくらいのピンポイントで、スタジアムや駅、ドコモショップの店舗内といったようにかなり限定的過ぎて拍子抜けした。
ソフトバンクは予め総務省に提出していた計画を見ても「やる気ない感」が伝わってきていたため、実際に3月末から開始されるネットワークが明らかになったところで「こんなものか」と納得できる。
しかし、NTTドコモの場合は、盛り盛りの計画値であったため、その差に愕然としたのであった。
ソフトバンクの場合、4Gネットワークをメインに据えており、4Gネットワークに5Gスマホを収納できる「DSS」によって、エリア展開を一気に広げようという戦略が見えてくる。
しかし、NTTドコモの場合は「当面は5G向けに与えられた周波数でエリアを構築していく」(担当者)としている。
今年6月には、全国47都道府県で5Gサービスを提供していくようだが、おそらくドコモの支店のロビーや県庁前辺りをエリア化する程度から始まるのではないか。
23日に発表になるKDDIのネットワーク戦略がどうなるかはまだ不明だが、いずれのキャリアも「3.7GHz帯は衛星との干渉もあって使いづらい」「28GHz帯では面的カバーは難しく、屋内などに限られそう」「そもそも、新しく5G向けに基地局を建設するのは金がかかる」として、5Gのエリア展開には及び腰になっているのではないか。
ただ、これも5Gがスタートしたばかりであり、多くの人が「様子見」だからこそ、のんびりとしたネットワーク展開でも許されるのではないか。
かつて、4Gがスタートした時にも、あまりエリアに関して注目はされていなかったが、iPhoneが4G対応となった途端に各社とも本気になり始めた経緯がある。
さらにメディアが一斉に「どこのiPhoneはどれくらいの通信速度になるか」といった比較記事を出したことによって、4Gのエリア競争が加速したのではないか。
5Gでも「iPhoneがエリア競争のきっかけになりそうか」という質問をNTTドコモにぶつけたところ、同社の太口努5G事業推進室長は「エリア競争という話が出てきたが、私たちはその分野においても優位性を確保したいと考えている。ただし、何がトリガーになるのか。スマホなのか、サービスなのか、料金なのか。複数の要素が絡み合って競争は進む。他社の動向や技術の進歩など、私たちの戦略を主体的に考えていくなかで、適切な時期に適切なエリア拡大を図ったり、デバイスやサービスのラインアップを広げていければと思っている」とした。
やはり9月にiPhoneが5G対応となり「どこのキャリアのiPhoneが5Gにつながりやすいか」という競争になると、面白いことになりそうだ。
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