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MVNOも導入予定の5G その際に悩ましい「5Gピクト」「端末」「エリア」問題IIJmio meeting 27(1/3 ページ)

大手3キャリアが始めた「5G」はMVNOにも開放される予定。インターネットイニシアティブ(IIJ)は5Gを利用したサービスの検討を進めている。「IIJmio meeting 27」では、IIJのMVNO事業で新技術の調査や検証、導入を担当している大内宗徳氏が、ノンスタンドアロン5Gの特徴や課題を説明した。

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 大手3キャリアが始めた「5G」はMVNOにも開放される予定で、インターネットイニシアティブ(IIJ)は5Gを利用したサービスの検討を進めている。IIJのファンミーティング「IIJmio meeting 27」では、IIJのMVNO事業で新技術の調査や検証、導入を担当している大内宗徳氏が、「5G NSAについて」と題して、ノンスタンドアロン5Gの特徴や課題を明らかにした。

IIJ大内氏
IIJの大内宗徳氏

超高速通信は高い周波数の広い帯域幅で実現される

 5Gが最終的に目指しているネットワークは、全てが5Gの技術に基づいたスタンドアロン方式の5G(5G SA)。しかし、4Gのネットワークから5G SAに移行するためには、仕様策定やネットワークの入れ替えに膨大な時間がかかる。そこで、まずは超高速通信に限定して、4Gを利用することで5G機能の一部を早期に実現したものがノンスタンドアロン方式の5G(5G NSA)だ。

IIJ大内氏
5G NSAは4Gを利用して、5Gの1機能である超高速通信を早期に実現する

 LTEとの違いは、利用する周波数を大幅に拡張していること。LTEでも使われている、FR1(Frequency Range 1)と呼ばれる6GHz帯以下の周波数帯に加え、今までは使われていなかったミリ波帯も使う、24.25GHzから52.6GHz帯のFR2(Frequency Range 2)だ。

 さらに、5Gでは扱える周波数の幅を拡張している。1コンポーネントキャリア(1CC)あたり、FR1では最大100MHz幅で、これは4Gの5倍になる。FR2のレンジに至っては最大400MHz幅だ。また、周波数を最大16まで束ねてさらに高速化できる「キャリアアグリゲーション」、アンテナをたくさん使って通信を高速化する技術「Massive MIMO」も導入されている。

 5Gで使われる周波数帯の100MHz幅、400MHz幅というのは、4G時代から比べると格段に広い。4Gでは、各キャリアとも周波数帯を全て集めた合計が200MHz幅程だ。5Gでは非常に広い帯域幅で周波数が割り当てられており、これを利用することで高速通信が実現できているのだ。

4G基地局と5G基地局が協調

 5G NSAでは、4Gコアネットワークを使いつつ5Gを利用する方式として、「EN-DC」方式を採用している。EN-DCは「E-UTRA NR Dual Connectivity」の略で、E-UTRAは4Gのことを意味し、NRは5Gを意味する。4Gと5Gを両方使った接続方式という意味だ。

 EN-DC方式では、下図のeNB(4G基地局)をマスターノード、gNB(5G基地局)をセカンダリーノードとして、一体で運用する。2つの基地局間で協調してデータ通信を高速化する仕組みが「Dual Connectivity」という仕組みだが、これはLTEの基地局同士での仕様が策定されていて、それを5Gに拡張したのがEN-DC方式だ。

IIJ大内氏
5G NSAでは、4Gコアネットワークを使いつつ5Gを利用するEN-DC方式を採用

 4G基地局は、報知情報と呼ばれる信号を使って5G基地局の存在を端末に通知する。5G基地局自体はそうした信号を直接は出さない。5G基地局が隣に存在するという信号を4G基地局が出すことで、端末が5Gのエリアにいるかどうかを検知できるようになっている。その際に4G基地局で使う周波数のことを「アンカーバンド」や「アンカーLTEバンド」と呼んでいる。

 5G基地局は報知情報を出さないので、端末は直接基地局を検知できない。接続開始やSIM認証、5G接続の有効化というような各種制御信号は、4Gの基地局経由でやりとりする。4G基地局を通じでさまざまな情報がやりとりされ、最終的に端末が5G基地局に接続できるとなれば、5G基地局で通信が開始される。

IIJ大内氏
5G NSA接続の流れ。4G基地局(eNB)が、5G基地局(gNB)があるということを報知情報で流すので、それを検出した端末がMME(Mobility Management Entity)に接続要求を投げる(2)。端末の接続を制御しているMMEは、端末が5G NSA対応だと接続要求を送る。MMEはSIMを認証した後に、SIM情報を管理しているHSSから加入者情報を参照し、5G NSAの利用が禁止されていないかを確認する(3)。5Gを利用可能だと判断した場合は、MMEの指示で4G基地局からSGW/PGW間のデータ接続のパスを確立する(4)。端末と4G基地局でやりとりして、4G基地局、5G基地局の周波数に対応しているか確認される(5)。最終的にシーケンスに問題なければ、MMEは端末側に、5G NSAの接続が可能という接続受付応答を返す(6)
IIJ大内氏
前のスライドの(5)で、端末側が4G基地局(eNB)と5G基地局(gNB)の周波数に対応していると確認されていてれば、4G基地局は、5G基地局から出す電波を測定するように指示を投げる(7)。指示を受けて端末がデータを通信する際に、5G基地局からの電波状況が悪い場合は、4G基地局で4G通信をする。5G基地局からの電波がよければ、キャリアアグリゲーションと同様の方法で、4G基地局から5G基地局を介して通信を開始しろという指令が投げられ、5G基地局で通信が開始される(8)
IIJ大内氏
コアネットワーク側も5Gに最適化した経路を選択する。パケットを処理するSGWとの通信は、それまで4G基地局経由でやりとりしていたのが、5G基地局経由でやりとりするような最適化も同時に走る
IIJ大内氏
キャリアアグリゲーション(CA)と5G EN-DC方式の違い。CAの場合、基地局が複数の電波を吹いていると、それらを同時に利用して、1つのIPパケットを複数に分割して並列伝送して高速化する。5G EN-DCは、5G通信が始まると基本的に通信は5G側が担う。IPパケットが届くと、5G基地局の広い帯域にそのまま載せて、力技で高速に伝送する
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