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総務省・有識者会議で「MNP」と「頭金」が槍玉に――MNPは「移転先」だけで手続きできるようにすべき石川温のスマホ業界新聞

総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」において、MNP制度と店頭での「頭金」が話題に登った。海外では、MNPは転出先事業者で手続きをするだけで終わる「ワンストップ式」を採用する国もあるが、日本ではどうなるだろうか。

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「石川温のスマホ業界新聞」
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 現在、総務省では有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」が開催されている。このご時世ということで、オンライン会議で行われているのだが、なぜかSkype for Businessの音声のみで議論をしていて、有識者の先生方もプレゼンする企業担当者も相当、議論に苦労しているようだ。傍聴する側も音しか聞けないため、とても苦痛だ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年6月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 6月25日に行われた議論では「分割支払い時の頭金」と「MNP」について、有識者から多くの指摘があった。

 端末を分割払いで購入した際、ショップの店頭では「頭金」が設定されているが、その頭金が「本来の頭金の意味を成していない」という指摘だ。確かに、ショップで分割払いをした場合、分割払いの一部として支払う頭金ではなく、「手数料」的な位置づけで「頭金」を支払わされている。

 ショップとしては、収入源の確保に「頭金」という名称を設定したのだろうが、そこに総務省からのツッコミが入ってしまった。今後、頭金という名称は使えそうにない雰囲気となっているため、名称の変更を余儀なくされそうだ。

 もう一つがMNPについて。日本では、MNPをする際に、現在、契約しているキャリアに連絡してMNP番号を発行してもらいつつ、移転先で契約をするというスタイルだ。世界的にはこのように移転元に連絡する国というのは限定的らしい。

 総務省としては「移転先だけで手続きが完結できるようにしたい」という意向があるのだが、3キャリアからは「消費者の保護にならない」として反発されている。

 自分もアメリカで、AT&Tからベライゾン、ベライゾンからGoogle FiにMNPを2回してきたが、いずれも移転先での手続きだけで済んだので、とても簡便であった。

 当然、移転元から引き留めにはあわないので、すんなりと後腐れなくお別れできる。

 日本ではソフトバンクがワイモバイルをチラつかせて猛烈に引き留めをしているし、この秋以降はauがUQモバイルを使って今まで以上に引き留めていくことだろう。総務省としては、この状況を食い止めたいはずだ。

 やはり、MNPを活性化させるには、移転先だけで手続きが完結する仕組みを一刻も早く導入すべきだ。3キャリアは「消費者保護のため」というが、ここ最近、2年縛りも見直されているので、「2年縛りや分割払い中の解約」についても、さほど問題化されなくなりつつある。MNPのワンストップ化には大賛成だ。

 そもそも、総務省はMNPのワンストップ化と2年縛りの見直しだけをすればよかったのだ。

 MNPで引き留めに合わなければ、誰もが簡単に解約しやすくなる。3キャリアで端末の大幅割引をしていれば、ユーザーはどんどん解約し、端末の安い方にMNPしていく。結果として、市場の流動性が高まり、端末と通信の値下げ競争が促進されるのではないか。

 総務省はMNPのワンストップ化を導入した後は、これまで展開し、何の成果も出なかった、端末の割引規制などの愚策の数々を見直す議論を始めるべきだ。

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