総務省がJ:COM MOBILEを規制対象に追加と発表――実質無料のiPhone SE(第2世代)が他社から突っ込まれたか
KDDIが、電気通信事業法第27条の3などに基づく「特定関係法人」としてジュピターテレコム(J:COM)の子会社と京セラコミュニケーションシステム(KCCS)を届け出ていなかったとして行政指導を受けた。KDDIの法令解釈ミスが原因ではあるが、総務省はより早くツッコめなかったのだろうか……?
総務省は「電気通信事業法第27条の3等のルール」の対象として、ジュピターテレコム子会社(ジェイコム地域会社)などKDDIの関係会社12社と、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)を追加する方針を発表した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月23日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
「電気通信事業法第27条の3等」ではMNOやMNOの特定関係法人、MVNOでもシェア0.7%(100万契約以上)を持つ企業が対象となる。こうした企業は、端末割引上限2万円や、期間拘束契約の違約金上限1000円などが課せられる。
ジェイコム地域会社11社と京セラコミュニケーションシステム(KCCS)はKDDIの特定関係法人であったが、KDDI側のミスで報告されておらず、規制対象になっていなかったとされる。
実際に、規制対象になってなかったことで生まれたのが、J:COM MOBILEによるiPhone SE(第2世代)を実質、無料で販売するプランだ。
発表当時から「なぜ実質、無料の割引が適用されるのか」という疑問が記者から湧いていたが、J:COM MOBILEでは「ジェイコム地域会社は規制対象になっていない」という回答であった。
「だったら、他社も販売会社を地域ごとに分散させて、同様の割引施策できるのではないか」というツッコミもあったが、なんのことはない「KDDI社内で解釈の誤りがあった」という理由であった。
ただ、そもそもKDDIだけの解釈の問題だけではなく、当事者であるジュピターテレコム側も確認すべきことだし、今回、対象となったジェイコム地域会社も自ら確認すべき事案ではないのか。
これだけ総務省のよる割引規制が強くなる中、iPhone SEを実質扱うのはそれだけ世間的にもインパクトがあることだけに、そのタイミングでもう一度、確認作業があってもいいはずだ。
また、総務省も、もうちょっと早い段階でツッコミをいれてもいいのではないか。
この手の話は、おそらく、別のキャリアが総務省に駆け込んで、問題視されるというパターンがほとんどだ。iPhone SEを実質無料で販売しているのを面白くないと感じていた他社に突っ込まれたのかも知れない。
今回の件を受けて、1月23日?2月22日まで意見募集が行われ、その後、正式に規制対象として追加されるようだ。
ただ、3キャリアで廉価プランが登場することで、この法律自体の見直しも必要なのではないか。おそらく、KDDIとしてもpovoを始めることで、J:COM MOBILEの立ち位置を変えてくるのは間違いない。
また、この法律ではIIJとオプテージが規制対象となっている。彼らを対象から外さないことには廉価プランにも太刀打ちできず、さらにこうした足かせをはめられ続けることになるため、相当、競争力を失うことになる。
MVNOを生かすためにも、特定法人ではないMVNOは規制から外すといった検討が必要だろう。
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