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ソフトバンク宮内社長「人口カバー率99%は兆単位の設備投資が必要」――iPhone 12は3月末から4月のアップデートで5Gエリアが一気に拡大石川温のスマホ業界新聞

ソフトバンクが2020年度第3四半期決算説明会を開催した。その質疑応答において、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」に対する感想を求められた宮内謙社長は「日本は米国やインドとは違う」と回答した。どういうことなのだろうか?

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「石川温のスマホ業界新聞」

 2月4日、ソフトバンクは第3四半期決算会見を開催。そのなかで、先日、発表された楽天モバイルの新料金プランに対して、宮内謙社長は料金プランに関してはワイモバイルで充分に勝てるとしており、店舗展開などでも強みがあるとした。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年2月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 特にネットワークに関して、ソフトバンクとしてはこれまで相当、苦労を重ねてきた。宮内社長は「特に4Gであれば、ゴルフ場など、様々な場所でつながる。(楽天モバイルは)人口カバー率が96%といっているが、96%から99%にするには兆単位のお金がかかる。過去にはいろんな人から『ゴルフ場でつながらない』『軽井沢でつながらない』『銀座のクラブでつながらない』と言われてきた。日本のユーザーからはネットワーク品質を求める声が大きい。アメリカやインドと違って品質が重要」と、インドのキャリアで名をあげた楽天モバイルのタレック・アミンCTOを揶揄した。

 さらに宮内社長は「彼らはずっと0円でやってきた。もっとお客さんが流出してもおかしくなかったが、ユーザーは品質に対してこだわりが強い」とした。

 5Gネットワークについては、2020年度末に約1万局、2021年度末には5万局を整備し、人口カバー率90%を超えることを目指す。

 宮内社長はiPhone 12の5Gエリアについて「3月末〜4月くらいのソフトウェア更新で、いろんなところで5Gがつながるようになる。こんなことを言ってはいけないかもしれないが」と言及したのだった。

 ネットワーク品質もさることながら、やはり端末ラインナップも重要になってきそうだ。

 ソフトバンクではワイモバイルでもiPhone 12ならびにiPhone 12 miniの取り扱いを発表した。つまり、ワイモバイルでiPhone 12を持ち、5Gの電波をあちこちでつかめるようになるというわけだ。結局、「ワイモバイルにしたけど、データ容量を使い切ってしまうので、ソフトバンクの無制限プランに切り替える」という人が数ヶ月後には増えてくるのではないか。

 ソフトバンクとしては、当面はモバイル通信料収入が落ち込むので、法人市場やヤフーなどの非通信事業で稼いでいくつもりのようだが、モバイル通信の収入の落ち込みは一時的であり、契約者も格安スマホ(MVNO)からの流入を見込んでいることだろう。

 今回の会見で、通期予想の売上高を2000億円増の5兆1000億円と発表。モバイル通信を軸にコロナ渦で「テレワーク需要」が追い風となったことは間違いない。

 再三、政府筋から「キャリアは儲けすぎ」との批判もあるが、コロナ渦で通信とその上に乗るサービスがなければ、多くの人が仕事を継続できなかったわけで、ユーザー視点でみればキャリアは「儲かって当然」といえるのではないだろうか。

© DWANGO Co., Ltd.

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