KDDIがフードデリバリーのmenuと資本業務提携契約――統一ID基盤でau経済圏拡大を狙う:石川温のスマホ業界新聞
KDDIが日本発のフードデリバリーサービス「menu」と資本業務提携を締結した。au IDを活用したビジネスの加速を目的とする提携だ。
6月2日、KDDIはフードデリバリー事業を手がけるmenuと資本業務提携契約を締結したと発表した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年6月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
menuはUber Eats、出前館に続く、フードデリバリーでは国内3番手と言える存在。資本業務提携は今さら感がある気もしなくはないが、KDDIでは「フードデリバリーサービスが持つ情報量」に注目しているのだという。
フードデリバリーでは、店舗が得られる顧客の情報が、来店に比べて少ないという点がある。どのような客が注文したのか、属性や趣味嗜好、利用シーンなどが把握できないというのだ。
これが、ID連携ができていれば、例えば、自宅でフードデリバリーを利用した飲食店での情報を元に、外出先で店内飲食するよう送客する、といったことができるようになる。
統一ID基盤を生かすことで飲食店だけでなく、小売店などの他業種へのデータ連係や応用が可能になるというわけだ。
ここ最近、一般のメディアでは「QRコード決済の決済手数料が有料化されると店舗側がサービスを使わなくなるのではないか」といった懸念報道が目立ち始めた。単にQRコード決済を現金払いの置き換えとしか捉えていないと、このような指摘になりがちだ。
ソフトバンクを筆頭にKDDIやNTTドコモ、楽天などのキャリアがQRコード決済に注力しているのも、こうした統一ID基盤を生かせるビジネスモデルを描きやすいという立場にいるからだ。
毎月の携帯電話料金の支払いでポイントが付与され、そのポイントをQRコード決済で、街中で使う。結果として、ユーザーと店舗がQRコード決済で紐付き、店舗型がそのデータを元に、マーケティング活動に使えるようになる、という構図が綺麗に描ければQRコード決済を導入し続けるメリットがあるというものだ。
ただ、この店舗と顧客の接点を、大手企業だけしか活用できないようであれば、中小店舗は一気にQRコード決済から手を引くことだろう。やはり、中小店舗の方が手数料の負担は大きいのは間違いない。
中小店舗が手数料を負担しても、顧客との接点を継続し、来店を増やせる機会を増やすような仕組みを提供する必要がありそうだ。
そう考えると、ソフトバンクはPayPayとLINEを所有し、顧客接点ならびに決済できる店舗の多さという点で圧倒的に有利な立場にいるが、ユーザーの動かすポイントサービス連携が弱いような気がしてならない。一方、ポイントサービスに強い楽天はリアル店舗での顧客接点が弱い感じがしている。
NTTドコモ、KDDIはモバイルの顧客基盤は大きいが、決済がPayPayに比べると弱い。
4キャリアで、どの会社が統一ID基盤をうまく回すことができるのか。勝者が決まるのはこれからなのかも知れない。
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