iPhone 14で「mini」廃止 それでも日本で“小型スマホ”が支持される理由(2/3 ページ)
スマホの画面は年々大型化が進行している。その一方で「iPhone 13 mini」やASUSの「Zenfone 9」のようなコンパクトな機種も少数ながら販売、発表されている。日本ではなぜ小さいスマホを求めるユーザーが多いのか。
日本の小型スマホニーズは「モバイルSuica」にある?
世界的に見ると大型化するスマートフォンであるが、日本においては小型の端末が一定数求められている。さまざまな理由が考えられるが、筆者は、スマートフォンの存在が切符や定期券、乗車券に代わるウォレットとなっている点が大きいと考える。
例えばモバイルSuicaなどで交通機関を利用するといった場合に、決済端末としてスマートフォンを用いる点だ。日本では全人口の約半分が関東、近畿、中京の3大都市圏に在住している。このエリアであれば、日常的に公共交通機関を利用している人も少なくはない。極端な話を言えば、日本人の約半分はモバイルSuicaなどを利用する機会が多い環境にあるといえるのだ。
思い返せば、どれだけiPhoneが良くても、(Apple Pay対応以前は)モバイルSuicaに対応しないことを理由に乗り換えができなかったユーザーの声を多く耳にしていた。それだけ、この分野に関しての関心の高さを伺える例だ。
モバイルSuicaの有無とスマートフォンの大きさは関係ないように思われるが、切符や定期券のようにスマートフォンを扱えるのであれば、収納場所はカバンよりもさっと出せるズボンのポケットといった場所が多くなる。ポケットに入らないような端末は収納場所を選びにくくなるのだ。
加えて、駅などで利用する場面では、端末を手に持って改札にかざさなければならないため、必然的にスマートフォンが無防備な状態になる。このような状態でしっかり握ることができない端末は、人やものにぶつけられてしまったときなどにうっかり落としてしまう可能性が高い。
それを防ぐためにネックストラップなどを着ける手もあるが、これをつけて胸ポケットにスマートフォンを入れようにも、近年の大型化した機種はそもそも収まらないものも多い。重量も200gを超えるものが多く、仮に収まっても重量で首や肩が凝ってしまうなど、従来の携帯電話と同じ感覚では利用できない点が指摘される。
加えて、日本では片手でスマートフォンを利用するニーズがかなり大きい。大型のスマートフォンであれば片手で本体を持ち、もう片方の手で操作をする使い方が主流となる。
現行のスマートフォンでは、大画面で画面端に手が届かず、片手で使いたいという声に応えて、各社「片手モード」と呼ばれる機能を搭載している。これはiPhoneにもあるものだ。
そのような機能があってもなお、小型の端末を求める層が一定数いる理由は、片手で持つ場面が比較的多いからだ。例えば満員電車の吊革に手をかけている状態を想像してほしい。この状態でも多くの人が情報収集やSNS閲覧、動画視聴といった用途でスマートフォンを利用している。
このような状況下では、確実に端末をホールドできることが重要になる。電車内は揺れや人の流れもあるため、大型で片手ホールドしにくいスマートフォンは落下させるリスクも大きいのだ。物理的な持ちやすさが求められる関係で、端末の片手モードといったものはであまり有効な解決策ではない。
バンカーリングといったアクセサリーが流行する点も、大型化する端末で持ちやすさの向上、端末の落下防止と言った理由がある。
また、文字入力に関してもフィーチャーフォン(ガラケー)の頃から携帯電話を使っているユーザーであれば、テンキー入力で利用していることも多い。テンキー入力は片仮名や「っ」「ゃ」などの入力時はボタンを複数回押さないといけない点など、入力しづらい点もあった。スマートフォンではフリック入力に進化したこともあって、大きく改善されたと考える。
日本でPC配列のキーボードを搭載した携帯電話は少数で、大多数がテンキー入力のフィーチャーフォンだった。PC配列では片手で入力しにくいものとなり、指の移動距離などを考えてもホールドしにくい。
そのため、日本で小さいスマートフォンが求められる理由は、公共交通機関を利用している際の情報収集において、端末が小さい方が持ちやすく、文字入力も片手で行えること。満員電車や改札の通過時などにしっかり握れることで、不意な落下を抑えられること。決済端末として財布のようにポケットに容易に収まるという点も考えられる。
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