V字回復に向けて順調なソフトバンク 楽天モバイルが望むプラチナバンドは「すぐには渡せない」と宮川社長(2/3 ページ)
売上高は前年同期比3%増を確保したものの、携帯電話の通信料金値下げなどが影響し、営業利益13%減の増収減益。下期も値下げ影響はあるものの、今期をボトムにさらに縮小する見込み。PayPayの売上は532億円に拡大し、黒字化に向けて視界が開けてきた。
PayPayの売上は532億円に拡大、黒字化は間近?
第3四半期から新設される金融事業は、子会社化したPayPayに加え、PayPayカード、100%出資先のSBペイメントサービス(SBPS)、51%を保有するPayPay証券が組み込まれる。ZホールディングスのPayPay銀行やLINE関連の金融事業は含まないセグメントとなる。
中心となるのはPayPayで、登録ユーザーは第2四半期末で21%増となる5121万人。宮川社長はこれで満足せず、「6000万、7000万を追いたい」と話しており、LINEとの連携を強化してLINEユーザーのPayPay利用を促進したい考え。LINEの月間アクティブユーザー数は9300万で、これをPayPayユーザーとすることでユーザー数を拡大する狙い。
PayPayの上期決済回数は43%増の23.8億回、決済取扱高は43%増の3.5兆円。これらの拡大に伴って売上高は129%と大幅増の532億円となった。これは、決済取扱高増に加え、加盟店への手数料徴収を始めたことも奏功した。EBITDAも上期でマイナス100億円まで縮小し、黒字化も見えてきた。
加えて、PayPayに事業を移管したPayPayカードも活用する。PayPayと統合することでシームレスなサービスにして、QRコード決済とクレジットカードの併用を促進して、1人あたりの決済額を伸ばしていきたい考えだ。
決済代行サービスのSBPSは、2021年度の決済取扱高が5.3兆円に達し、売上高、営業利益ともに継続して成長している。今後は、加盟店数の増加、1加盟店あたりの取扱高の増加を目指して、PayPay加盟店や営業力といったグループ内の資産を活用していく戦略。
グループ内では、複数の決済手段に対応した「PayCAS」を共同展開。ソフトバンクSIMに対応したPayCAS Mobile端末も用意し、店舗だけでなくSMB市場の開拓にも力を入れていく考えだ。
PayPay証券も、PayPayアプリ内のミニアプリとしてポイント運用を提供して利用者を拡大。さらに資産運用ミニアプリを提供したことで、月間の新規口座開設数が2倍以上と増加した。さらにそれまで新規口座獲得コストが約7800円かかっていたのが、ミニアプリ提供後は約550円と14分の1まで下がり、そのうちの過半数が若年層のユーザーで、女性割合も多くなるなどの効果が出ているという。
金融事業における連携だけでなく、モバイル、法人、コマースの各セグメントとも連携することで、グループのシナジーを有効利用して、全体の成長を目指す。同セグメントの営業利益は、PayPayの赤字を取り込むため、全体でも赤字のままだが、「早期に黒字化を目指す」としている。
宮川社長はPayPayがいつごろ黒字化するかは明言せず、「まだまだ攻めたい」と意気込む。PayPayは、決済アプリではなく金融全体のサービスを提供するポータル化が目標で、「本当のビジネスモデルは(1階部分の決済に加え)2階建て、3階建てで、加盟店からの収益、金融事業での金利収入を得る事業に成長させたい」(同)という。
「黒字化だけに全部こだわっているわけではなく、通信事業、LINEなどのSNS事業、流通事業、そういったものがグループ全体で連携し合うようになるとさらに強力になる。そのタイミングがゴール」と宮川社長は話す。
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