iPhone 14 Proの「ダイナミックアイランド」、実は使いにくくないですか?:松尾公也のAppleWIRE(1/2 ページ)
iPhone 14 Proの「ダイナミックアイランド」を使っていて、ちょっと困ったことがある。Safariで画面の最上部をタップするときに誤ってダイナミックアイランドに触れてしまうことがある。面白いコンテンツも、まだ現れていないようだ。
定年退職後まで在籍していたアイティメディアを昨夏に引退し、もうここに書くことはないのかなあと、自分の著者ページを見ながら懐かしがっていたところ、新しい記事を書かないかとITmedia Mobile編集部に声をかけてもらったので、今度は外部ライターとして、本業とは別のコラムを書かせていただくことになった。
Mobile編集部に所属したことはないが、一度仕事をしたことがある。ソフトバンクがiPhone 3Gを販売することになり、そのプロモーション企画としてアイティメディアで「App Town」というページを開設し、そこで動画によるアプリ紹介をしようという案を出したところ、それが通ってしまい、App Storeを見ては面白そうなアプリがあれば、それを動画で紹介するといったことをしばらくやっていた。zoome……。2008年の話だ(プレスリリース)。作品コンテストも行い、その審査員にはジェットダイスケさんに参加してもらったこともあったという遠い記憶もよみがえってきた。
さて、筆者は1990年代にMacUserという雑誌の編集長をしており、その後もメルマガのMacWIRE、ITmediaに入ってからもApple関連の記事を書くことが多かったので、Mobile編集部でもApple絡みを中心にお届けしたい。MacWIREの続きだけどMacだけでもないよな、ということで、連載タイトルはAppleWIREとした。
前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。9月に発表されたiPhone 14ファミリー。この中で自分はiPhone 14 Proを購入して使っているのだが、ちょっと困ったことがある。
発明ともいえる「ダイナミックアイランド」だけど……
iPhoneにはインカメラ、赤外線カメラや投光イルミネータなどを画面上部のセンターに置いている関係上、そこに画面を表示することができない(Androidではできている機種もあるが)。これを一般的には「切り欠き」とか「ノッチ」とか呼んでいるが、Apple内部的には「センサーハウジング」と呼称していた。
【訂正:2023年1月25日13時55分 初出時、「LiDARセンサー」が画面上部にある旨を記述していましたが、誤りでした。おわびして訂正いたします。】
iPhone 14 ProとPro Maxでは、そのセンサーハウジングのサイズ(幅)を大幅に縮小し、画面上端のベゼルから少し離れた位置に移動するとともに、iOSのユーザーインタフェースまで変更した。ただの黒い領域ではなくて、それが自在に大きさを変えるので、ダイナミックアイランド(Dynamic Island)と呼んだ。
この名前はその特徴をよく表したもので、技術的にもマーケティング的にも優れたものだったと思う。ただの邪魔者だったノッチが、そこに新たな価値を持つ情報の窓に変化したのだから、発明と言ってもいい。当初は好意的な声が多かったと思う。
Apple Musicで流れている曲のジャケットが小さく表示され、右側に波形が動いていて楽しい。そのうち、画期的なアプリが出てくるだろうと期待して、App Storeで「dynamic island」で検索して楽しみにしていた。
しかし、なかなか面白いものは現れてこない。ダイナミックアイランドの周囲をネコがうろうろするやつとか、ダイナミックアイランドが伸びてボールを反射させるゲームくらいなものだ。
これは、通知系以外に開放していないのも理由だが、じゃあ本来の使い方である、伸縮自在に伸びて情報を教えてくれるのがすごく便利かというと、そうでもない。逆にこれが邪魔なときが多い、ということに最近気づいてしまっている。
ダイナミックアイランドに誤タップしてしまうことも
例えばApple Musicを聴きながらSafariでいろいろなページを見ているとしよう。SafariをはじめとするiOSアプリで便利なのは、画面の最上部をタップすると、ページの先頭に遷移してくれることだ。しかし、ここでダイナミックアイランドが邪魔なのだ。ダイナミックアイランドとベゼルの間のわずか2mmくらいの領域に指をヒットさせなければならないのだ。筆者の場合は画面の上下スワイプを親指でやっていることもあり、この微妙な操作においてかなりの高確率でミスる。
そうすると、ダイナミックアイランドで表示されているアプリ(この場合、Apple Music)に遷移するのである。これまた戻るのが面倒くさい。下からスワイプしてタスクが表示された状態にして、Safariを選ぶのである。
と、ここまで書いておいてなんだが、2mm幅のところを狙わなくてもいいのではないかと思い立ち、左右の領域(左側には時計、右側には電波強度とバッテリー残)をタップしてみたら、これでSafariのページ先頭に戻ることができた。いやー、時計をタップしたら時計アプリが立ち上がり、電波強度をさわったらWi-Fiのステーション変更とかができてしまうんじゃないかと思っていた。
さらに言うなら、1つ前のアプリに戻るには、画面下部を右にスワイプすればよいのである。
いやー、アップルごめん。
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