5G対応かも不明、異例だらけのスマホ「HUAWEI Mate 60 Pro」レビュー 力業で制裁を回避した驚異のモデル(1/4 ページ)
iPhoneやPixelといった新型スマートフォンが発売される中、中国ではHuaweiの最新スマートフォン「HUAWEI Mate 60」シリーズが話題だ。発表会もなく、突如発売されたこのスマートフォンはスペックの多くが謎めいた形で販売された。香港で「HUAWEI Mate 60 Pro」の実機を入手したので、レビューしていく。
iPhoneやPixelといった新型スマートフォンが発売される中、中国ではHuaweiの最新スマートフォン「HUAWEI Mate 60」シリーズが話題だ。発表会もなく、突如発売されたこのスマートフォンはスペックの多くが謎めいた形で販売された。香港で「HUAWEI Mate 60 Pro」の実機を入手したので、レビューしていく。なお、今回は電波法第103条の6の解釈のもと「海外で開通した携帯電話」を持ち込んで確認を行った。
中国製造のKirin 9000Sを搭載して制裁を回避 基本性能は問題なし
Mate 60 Proに採用されているプロセッサは、HiSilicon Kirin 9000Sを搭載していることが判明している。中国の半導体ファウンダリーであるSMICにて製造されており、製造プロセスは7nmだと判明している。
プロセッサのコア数は1+3+4の8コアだが、プライムコアとビッグコアの4コアが1コア2スレッドを担える仕様のようだ。Intelのプロセッサにある「ハイパースレッディング・テクノロジー」と同様で、システム情報表示アプリでは「12コア」と表示される。
そのため、Kirin 9000sはスマホ向けプロセッサとしては異例の8コア12スレッドのSoCと考えるべきだ。
プロセッサの仕様について断定的な表現ができないのは、メーカーの公式サイトなどにプロセッサの記載が一切ないため。加えて、発表会も行われることなく発売されため、購入者が調査する必要がある。
そんなKirin 9000Sの基本性能は決して低くなく、昨今のハイエンドスマートフォンに匹敵する性能を持ち合わせる。
気になる性能については、簡単にベンチマークを行った。筆者が計測したベンチマークスコア(パフォーマンスモード)では、GeekBench 6でシングル1327点、マルチ3897点であった。これはGoogle Pixel 7などに採用されるTensor G2よりも高いスコアだ。
グラフィック性能は3D Markで計測した。Sling Shot Extreme(OPEN GL ES 3.1)にて7688というスコアを出しており、これもTensor G2より高いスコアとなっている。
Pixel 7などに採用されるTensor G2に近いスコアを計測している。簡易的なテストではあるが、基本的な性能は2年前のハイエンド機に迫る性能を出せていることに驚きを隠せない。
上記のような性能を持つだけあって、動作にストレスは感じない。パフォーマンスモードで使用してもバッテリー消費はさほど大きくなく、問題なく使用できる。また、Mate 60 Proではメモリは12GBと大容量の構成になっている。
グラフィックに関してはGPUのMaleoon 910を搭載していることが分かっている。ただし独自構成となっているためか、アプリなどのコンテンツ側の最適化が追い付いていない。メジャータイトルの「原神」で試した際は、正常にキャラクターやワールドが表示されなかったが、こちらはアプリ側のアップデートで解消された。
Mate 60 Proで最も気になるのが「5G通信の可否」だ。既に中国や欧米メディアが5G通信に対応しているのではないかと報じている。
米国のHuaweiに対する制裁は今もなお続いており、5G対応機器や最新プロセッサの調達には大きな制限がかかっている。その結果、2023年3月に発表したHuawei P60 Proは5Gに非対応の状態で販売された。
従来の機種では5Gが利用できないなど「制裁の影響」を感じられるものであったが、中国国内で5G対応機器や高性能なプロセッサを製造できた場合はどうだろうか。恐らく、Mate 60 Proではそれを自国製造という力業で米国の制裁を回避した形と考えられる。
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