予約なしで入れるはずが「予約でいっぱい」なのはなぜ? キャリアショップで今起こっていること:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/3 ページ)
コロナ禍が過ぎて、予約なしでの来店受付を再開したキャリアショップ。しかし、実際に行ってみると「予約のない場合は受け付けられない」と言われてしまうこともあります。一体なぜなのか、キャリア
店舗側の慢性的な人員不足が原因になることも
違うキャリアショップに勤める店員は、今どきの店舗が抱える悩みについて話してくれた。
うちも「予約優先で、時間に合わせていらっしゃるお客さまを応対する」という感じで、店舗が混んでいないように見えるのは同様です。Aさん(先に話した店員)の店舗と違い、カウンターは埋まっていないので、余計すいているように見えるかもしれません。
しかし、それでも予約のない、飛び込みのお客さまを断らざるを得ないことがあります。スタッフが足りていないからです。
併売店を含めて、携帯電話の販売代理店では、以前と比べると販売拠点で業務に当たる人員を確保しづらくなっています。店舗の統廃合もあるので「余った人員を回しては?」と思うかもしれませんが、それでも足りないケースがあると複数聞いています。
「どうして足りないの?」と言われると、いろいろ理由はありますがキャリアショップの場合は取り扱う商材や、スタッフがこなすべき業務が多岐に渡ることが大きいと考えます。携帯電話の購入や回線契約だけでなく、プランやオプションの変更を始めとする契約内容の変更受付、料金の支払い対応や解約の受け付け、さらに端末修理や光インターネット回線/固定電話など契約受け付け……といった感じで、昔と比べると、業務が非常に多いです。
一部には、取り扱う上でキャリア内外の資格が必要な業務もありますので、全てのスタッフが全業務に対応できるわけでもありません。ゆえに、カウンターが空いていたり、予約枠に余裕があったりしても、手続き内容によっては「後日の案内」になってしまうのです。
筆者もかつては携帯電話ショップの店員だったので分かるのだが、全ての店員が全ての業務に対応できるとは限らない。家電量販店の大規模店舗の場合だと「フロア(売り場)案内担当」と「契約実務担当」が明確に分かれていることがある。時間帯、あるいは混雑状況によってフロア担当が契約を担ったり、逆に契約実務担当がフロア接客に出たりすることもあるが、フロア案内担当の中には、契約手続きを行うためのキャリア内資格を保有していない人もいる。これは、キャリアショップも同様だ。
対応できる人がいなければ、いくらカウンターがあっても応対できない――当たり前といえば当たり前ではある。
ひと昔前までは、携帯電話の販売スタッフは「高時給」で「未経験でもOK」な仕事ということもあり、人気の高い職種だった。しかし、メインストリームがケータイ(フィーチャーフォン)からスマートフォンに移り、端末やサービスの取り扱い難易度が高くなってしまった(求められる知識やスキルが広がってしまった)がゆえに人材が集まりづらくなってしまっている。
先述の通り、商材によっては取り扱いに資格が必要なのだが、キャリア内資格でも、ものによっては取得に数日の研修が必須という場合もある。研修の間の人員不足を埋めるためのシフトを組もうにも、そもそも人手が足りないため困難を来す――そんなこともあったりする。
資格が必要な業務に従事できるスタッフが増えず(足りず)、その資格を取得させるために必要な人員も確保できないという“負のスパイラル”によって、「すいているように見えて、実はいっぱいいっぱい」というショップは増えているのだと思われる。
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