古いiPhoneで撮影した写真が“エモい”と評価されるワケ 「iPhone 3GS」で試してみた(1/2 ページ)
若い世代の間では「エモい写真が気軽に撮れる」という意味で「古いiPhone」で写真を撮ることが話題だ。なぜ話題なのか実際に古いiPhoneを用いて撮影してみたり、同世代の友人等に聞き込みを行って考察してみることにする。
近年若い世代の間では「エモい写真が気軽に撮れる」という意味で「古いiPhone」で写真を撮ることが話題だ。なぜ話題なのか実際に古いiPhoneを用いて撮影してみたり、同世代の友人等に聞き込みを行って考察してみることにする。
古いiPhoneへの注目はレトロカメラブームから。エモい理由は「ノスタルジー」な雰囲気から
SNS上では「古いiPhone」で撮影した投稿が注目を集めている。近年では10〜20代のZ世代の若者を中心に数年前のiPhoneで撮影した写真が感傷的。すなわち「エモい」感じで撮れるとのことだ。
20代の筆者としても、古いスマートフォンの写真に懐かしさはあっても「エモさ」という表現はいまいちピンとこない領域だ。ましてや読者からしたら、この世代のスマートフォンは実際に手に取って使っていた方も少なくないことだ。
このような「古いスマートフォン」で撮影した写真がエモいと評価される理由は何だろうか。背景には「レトロカメラ」が若い世代でブームになっていることが挙げられる。
ここにはデジタルカメラのほか、使い捨てカメラやフィルムカメラ、トイカメラも含まれる。むしろ後者のほうが人気を博しており、使い捨てカメラの代名詞「写ルンです」のどこか懐かしい写りは「エモい」ということで今日の若者や学生にもウケが良い製品だ。
日本では主に「特別な場面を思い出深く残す」といった場面で、この手のカメラの写りが若い世代に好まれるそうだ。筆者としては思い出ほど「鮮明に残したい」と感じるが、同世代の友人に聞いてみると。今のZ世代の若者には「淡いセピア調の思い出」のようなノスタルジックな写りのほうがウケが良いのだという。
ノスタルジーなことを意味する「昭和レトロ」や「平成レトロ」と称される言葉が登場し、これらの時代の写真などにもある種の憧れ、新鮮さを抱く若者がいることもこのブームを加速させる理由と考える。ある意味「大正ロマン」の現代版だ。
実は日本だけでなく世界的に見ても、古いデジタルカメラが若い世代を中心にブームとなっている。具体的には2000年代の廉価なデジタルカメラを指し、先行して流行したフィルムカメラやチェキといったインスタントカメラほど手間やプリントコストもかからず、ノスタルジーな質感を演出できることが新鮮に感じるようだ。
特に中華圏ではこの市場が盛況だ。筆者も香港や深センの中古カメラが多く扱われるエリアを見てみたが、顧客の多くは10〜20代の若者が多く、女性の姿も多くみられた。
このブームを香港在住の友人に訪ねたところ「加工のないエモさ」がウケていると表現された。筆者はこの「加工のない」と表現された辺り、AI補正が当たり前のスマホに対するアンチテーゼ的なものを感じた。日本以上に自撮りブームが盛んで、スマホでは「AIでとにかく盛れるカメラ」が一世を風靡した中華圏でこのような評価になるのには驚いた。
このような背景もあり、レトロデジタルカメラは人気機種を中心に価格が高騰している。深センで見かけたときの相場は日本メーカーの15年落ちの製品で550元(約1万1500円)前後と思ったより高価だった。このほかに「スマートメディア」といった旧規格の保存メディアも数が少ないことから高騰しているという。
日本でもフリマアプリや中古販売店をチェックすると、多くの製品がそこそこ高価な価格で販売されている。大手中古店のハードオフのスタッフが「状態のいいデジカメは入荷するとすぐに売れる」と漏らすのも納得の盛況具合だ。
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