News 2001年1月17日 10:15 PM 更新

「Lotusの再編成はない」──再度強調するZollar氏

Lotus CEOのAl Zollar氏とIBMソフトウェアグループのSteave Miles上級副社長が記者団の質問に答え,LotusをIBM内に取り込むことはないと再度強調した。

 米フロリダ州オーランドで開催中の「Lotusphere 2001 Orlando」では,IBMグループ内でのLotusの位置付けを再検討し,組織だった方針の変更を発表する場になるという事前の情報が流れていた。初日のプレスカンファレンスの冒頭で「噂がいろいろあるようだが,私から話すことは何もない」としていたLotus CEOのAl Zollar氏だったが,翌日のプレスQ&Aでも再度同じ内容を,しかし若干詳しく話した。

 Zollar氏は,Lotus全体のビジネスに関して「さまざまな部分で再検討を進めているのは確かだが,それはLotus全体を変化させ,IBM色に染めるようなものではない」とした。IBMソフトウェアグループが提供しているソフトウェアと重なる部分に関しては,その要・不要を含めた再検討が行われているというが,それは何も今になって始まったことではない。

 Q&Aに同席したIBMソフトウェアグループ上級副社長のSteve Mills氏は「Lotusの持つ人を中心にしたシステムのノウハウに,IBMの信頼性といった文化を注入することで強化しようとしている。逆にIBMは情報を数値化して処理する技術に長けており,それをLotus製品に注入することもある。IBMはLotusに貢献しているし,その逆も真だ」と(今更ながら)シナジー効果に言及した。

 Mills氏はさらに「個人的には,IBMとLotusで重複する製品があってもいいと思う。たとえば金融アナリスト向けのポータルは情報を数値化し評価するアプローチのソリューションが最適だろうし,逆にマーケティング部門ではアイデアベースの知識管理が必要になるだろう。同じ分野でもアプローチは複数あるものだ」と続け,Lotusの企業文化と,そこから生まれる製品がIBMにとってユニークで重要なものであることを強調する。

 重複する製品があれば,その部門をレイオフするのか。またその発表はいつなのか,という質問も飛び出したが,Zollar氏は「重複する製品を注意深く検討し,ビジネスの方向性を見定めているが,まだ結果は出ていない。人事面についても同じだ」と答えた。もっとも,その口調は,レイオフではなく,配置換えの可能性に含みを持たせたもので,大規模なリストラを意味するものではなかった。

 そもそも,IBMがLotusを買収してから既に5年以上が経過している。今さらLotusとIBMの統合を論じる時期でもないだろう。Mills氏は「近年,Lotus製品を含むIBMソフトウェアグループの製品が,機能をモジュール化していることに気付くはずだ。これは顧客へのソリューションを提供する上で,最適なモジュールを組み合わせられることを意味している」と話し,Lotusを無理にIBM内に取り込んで製品を一本化する必要がないことを示した。

 結局のところ,Lotus再編成の話は,一部報道関係者の想像の範疇を出ていない。LotusがIBM傘下にある以上,影響力を振るうことは間違いないだろう。しかし,IBM内に完全に吸収することで失うものが多いことも,IBMは熟知しているはずだ。IBMがよほどの馬鹿ではない限り,自分の所有している貴重な資産の価値を下げることはしないはずだ。

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[本田雅一, ITmedia]

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