News 2001年4月2日 09:53 PM 更新

“企業としての良識”を求められるNTT

NTTの116番に電話すると“ISDNからの乗り換えならフレッツ・ADSLのほうが早い”と勧誘される? イー・アクセスが総務省に対し,NTTの対応改善を求める意見書を提出した。

 一度は収まったかのように見えたNTTとDSL事業者間の軋轢が,再び注目を集めそうだ。DSL事業者のイー・アクセスは4月2日,NTT東西地域会社との営業および接続交渉に関する問題点について,監督省庁である総務省に改善措置を求める意見申し立てを行った。

 イー・アクセスが問題としているのは,主に2点ある。1つは,回線名義人の確認やISDNからアナログ回線への変更の窓口が116番になっている点だ。116番は,ユーザーからの問い合わせや諸変更を受け付けるNTTの統一窓口という位置付けだが,「同時にNTTの営業最前線でもある」(イー・アクセス)のが問題だという。

脅迫紛いの勧誘も?

 例えば,ISPなどを通じてイー・アクセスのサービスを申し込んだユーザーは,電話回線の名義人とその住所を届け出る必要があるが,「名義人を確認しようとNTTに電話した際,116の担当者がフレッツ・ADSLへ勧誘するといったことがあり,それが当社にクレームとして(ユーザーから)寄せられている。ISDNをアナログに変更しようとしたユーザーの中には“ISDNからの乗り換えならフレッツ・ADSLのほうが早い”と脅迫紛いの勧誘を受けたケースもある」(イー・アクセス)という。こうした問題を解決するため,イー・アクセスでは,他事業者のユーザー受け付け窓口として,116担当部署と完全に分離した部署をNTT内に設置することを求めている。いわば,NTT内部の構造的な欠陥として,改善を要求しているわけだ。

 またイー・アクセスは,「名義人の名前が旧字体なのに新字体で書かれている,などの些細な間違いでも,フレッツ・ADSLの申込みなら通るが,われわれのサービスを申し込むときは再確認が求められる」といった差も指摘しており,併せてNTTの持つ顧客データベースの開放を提案している。「公正な競争条件を確保するため,ADSL回線提供時に必要な情報を(NTTが)開放し,NTT東西地域会社と同等の顧客手続きをわれわれ自身が行えるようにしたい」(同社)。

改善要求は既に出ていた?

 イー・アクセスの動きに対し,NTT側は「他社サービスへの干渉といった事実はない。ただ誤解があったとすれば,アナログ回線への切り替え時などに,他社サービスを希望していることを知らない係員がフレッツ・ADSLを紹介した,という可能性はあるだろう」と話す。また,顧客情報の開示に関しては「顧客のプライバシーに関わらない範囲で,事業者ごとに情報を提供できるシステムを提案中だ」と前向きな姿勢を見せている。

 もっとも,116の担当者が自社サービスへ誘導するという問題は,今に始まったことではないようだ。東京めたりっく通信では,今年初めにイー・アクセスと同様の要望書を総務省に提出しており,2月末には改善を指導する旨の回答を得ている。「116での誘導をなくすよう周知徹底すること,他社サービスでもISDNからの切り替え(ISDN-アナログ- ADSL)を一度に行える体制を作ること,そして顧客のプライバシーを尊重した形でNTTのデータベースをわれわれが利用できるようにすること。以上の3点について,2月26日に総務省から回答を得た」(東京めたりっく通信)。東京めたりっく通信のほうはこれで収まったようだが,イー・アクセスは「直近の例もある」として,今回の要望書提出に踏み切った模様だ。

ダークファイバーの情報開示を

 イー・アクセスが要望書に盛り込んだもう1つの問題点は,ダークファイバー接続交渉と情報開示に関するもの。同社は,昨年5月に最初のPOI調査(相互接続点調査)を申し込み,8月にNTTから「検討中」という回答を得た。しかし,11月15日に再度要望書を提出したところ,接続約款にはないフォーマットで調査申込書を求められるなど,意図的とも思える遅延行為が認められたという。「接続約款に基づかない,脱法的行為の疑いがある」(イー・アクセス)。

 また,接続できないとされる区間の判断基準にも疑問があるという。例えば,東京23区内にある2つの電話局を結ぶ中継回線をダークファイバーで構築するため,調査を申し込んだが,当初は可能だとしていたNTTが後になってそれを撤回。再度申し込むと,今度は当初よりも劣る条件を提示してきた事例がある。「交渉の経緯から,接続可否の判断基準に恣意性があるとの嫌疑を持たざるを得ない。未使用心線数などの情報の開示と運用面の合理性に関する検証,そして接続不可区間における根拠の提示を求める」(イー・アクセス)。

 この点についてNTTは,担当部署に確認中だとした上で,「中には対応が遅くなっている部分もあるが,故意にやっているわけではない」と話している。

 ダークファイバーに関する情報開示については,他社には行われているという事実もあり,一概に恣意性があるとは言えない。あるいは,NTT側担当者の力量に起因している可能性もあるだろう。ただし,前述のような「自らの立場を利用して,他社ユーザーを引き込もうとした」点は,東京めたりっく通信の例をみても明らかのようだ。NTTは,2000年12月に「他社の新規参入を妨害した」として公正取引委員会から警告を受けている(2000年12月20日の記事を参照)。再三に渡る改善要求は,NTTに“企業としての良識”を求めているようだ。

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関連リンク
▼ イー・アクセスのニュースリリース

[芹澤隆徳, ITmedia]

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