News 2001年4月3日 08:55 PM 更新

Xbox,E3で何がある?──MS幹部インタビュー

米Microsoftでゲームパブリッシング部門担当副社長を務めるEd Fries氏に,Xbox開発の進捗状況を聞いた。同氏は,少なくともE3までは価格が発表されることはないという。

 「東京ゲームショウ 2001春」で日本デビューを飾ったマイクロソフトの「Xbox」。出荷までは間があるものの,対応ソフトのデモもあり,注目度は高かったようだ。しかし,未だ価格は公表されておらず,また展示会場にも実動機も見あたらない。米Microsoftでゲームパブリッシング部門担当副社長を務めるEd Fries氏と,マイクロソフトのXbox事業部アドバンストテクノロジーグループの吉岡直人マネージャーに,Xbox開発の進捗状況を聞いた。


米Microsoftのゲームパブリッシング部門担当副社長,Ed Fries氏と,公開されたばかりの日本仕様コントローラ


インタビュー会場に置かれていたXboxの試作機。実動機かと思いきや,「チップがいくつか入っていないので動かない」とのこと

ZDNet まず,1つ教えてください。Xboxのメモリ容量は64Mバイトですが,メインメモリとビデオメモリを共有する方式のXboxで,足りなくなる恐れはないのですか?

Fries PCと比較するとそう考えるのも分かりますが,少なくともXboxは,「Playstation 2」や「NINTENDO GAMECUBE」よりも多くのメモリを搭載しています。

 その上,Xboxではテクスチャを6分の1に圧縮することができます。64Mバイトすべてテクスチャで埋めれば──もちろん,そんなことはあり得ませんが──64×6で384Mバイトにもなります。PCのように大きなOSもありませんから,足りなくなる恐れはありません。

 もちろん,ゲーム開発者にとってメモリが多ければ多いほど良いのは当然です。ただ,XboxにはPCにないメリットがあります。それは,PCの場合,ユーザーの環境がまちまちですが,Xboxはハードウェアが決まっている点です。デベロッパーは,ハードウェアの限界を知った上で(メモリ不足などのトラブルを)回避することができるわけです。

 ブートカーネルにしても,NTベースとはいえ,とてもクリーンで小さなコードなんです。サイズとしては,数百Kバイトという単位でしょう。これは,スタートアップ画面やサウンドデータを含んだ数字です。

吉岡 それに,XboxにはHDDが搭載されています。これを有効利用することが,ゲームを開発する上でカギとなるでしょう。ローディングでゲームが中断することも少なくなります。DVD-ROMと比較すると,HDDの高速性は比べものになりませんから。

 例えば野球ゲームの場合,ホームランを打ったときには歓声や花火といったアクションが起こります。これがワンテンポ遅れたら,興ざめしてしまうでしょう。そうしたデータをHDDにロードしておくことで,より速く,リアルな表現が可能になるのです。

ZDNet ゲームコンソールでHDDを標準搭載するのは初めてですが,デベロッパーの反応は?

Fries 良好です。ただ,ゲームメーカーの反応にも2種類あるように思えます。もともとPCゲームを作っていたメーカーはHDDの利用法を熟知していますので,対応は早いですね。これまで,ゲームコンソール用にゲームを開発していたメーカーは,模索中といったところでしょうか。

吉岡 日本のゲームメーカーについて言えば,彼らはこれまでも,ゲームを続けながらローディングするといったノウハウを蓄積してきた経緯があります。ですから,対応も早いですし,HDDの新しい利用法なども提案してくれるのではないでしょうか。

ZDNet われわれが実際に動作するXboxを見ることができるのはいつですか? 5月の「Electronic Entertainment Expo」(E3)という説が有力のようですが。

Fries もうすぐです。現在は最終テストの最中で,これがクリア出来次第,量産を始めるでしょう。ただし,E3で動かすかどうかは決まっていません。

ZDNN 価格について教えてください。普及の分かれ目といわれる300ドルを切ることはできますか?

Fries 今は,まだ詳しくは言えません。ただ,競争力のある価格で提供することは確かです。価格の正式な発表は,一番早いタイミングだとE3でしょう。少なくとも,それまでに発表することはありません。

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[聞き手:芹澤隆徳, ITmedia]

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