News 2001年4月6日 10:28 PM 更新

FTTHの速さ実感。思えば,遠くまで来たものだ……(1)

NTT地域会社の「光・IP通信網サービス」(仮称)導入記続編。FTTHの実力はやっぱりすごかった。

この記事は,「春の日差しはことのほか強く,むき出しの光ファイバーは眩しかった」の続編です。まずこちらからどうぞ。

 NTT地域会社の「光・IP通信網サービス」(仮称:以下FTTH)は,フレッツ・ADSL/ISDNと同様に,地域IP網を経由する。しかし注目すべき点がいくつかある。筆者はFTTHを基本メニュー(月額1万3000円)で契約した。同メニューの特徴は2つ。

  • 10Mbpsの帯域を256人でシェアする
  • 同時に2つのISPと接続可

というものだ。考えてみれば,これらの特徴は2つとも何やら貧乏臭い。「安いんだから仕方ないじゃないか,みんな貧しいんだよ,もたれ合って生きていこうじゃないか」的な気分になること請け合いだ。もっとも後者には別の見方もある。1本の光ファイバーで同時に2つの接続を可能にしている点は従来にはなかった考え方だ。フレッツ・ISDNやフレッツ・ADSLでは同時に1つしか接続できないから,メリットは大だ。

安い料金で高速通信

 同サービスの速度面に注目しても,FTTHの実力はやはりすごい。後述するように,4.5Mbpsから6Mbpsの速度が出る。これはWindows 2000での転送速度。Windows 9x系ではこれより遅くなり,最高で3.6Mbpsくらい(MTUの最適化が必要。3月16日の記事参照)。また安物のルータを間に入れると2.5Mbps程度に落ちる。目的に応じたルータ選択が必要となるだろう。

 当初予想より速い速度が出ているのは,契約者が少ない今頃だけ,という意見もある。「サービスが始まった直後だから速い」と思って上記の数字を読んで欲しい。

 全く比較にはならないが,FTTHの実効速度を5Mbpsと考えて,同様の速度の「光ケーブル専用線」と値段を比べてみよう。普通に5Mbpsの速度の専用線を契約すると,接続料込みで100万円以上する。「いよっ! NTTの大盤振る舞い」と声を掛けたくもなる。

 東京めたりっく通信が3MbpsのADSLを始める,との話もあるが,FTTHは上りも5Mbpsだ。東京めたりっく通信の上りの速さは512Kbpsのはず。ADSLのA(Asymmetric:非対称)が恨めしい?

 それに加えて,「有線ブロードネットワークス」の100Mbps光(月額6100円)に刺激されて,負けず嫌いのNTTは基本メニューの月額1万3000円を半額以下にしたいとの社長会見を2月に行った。基本メニューの料金はこの春から6000円程度になるはず。

その速度は? ──生の速度

 FTTHはいったいどのくらい速いのか。読者もこれが一番気になるに違いない。しかし速度測定にはさまざまな条件がつきまとう。時間やネットの状態によって変動する。いつもその速さが出るというわけではない。その条件は,

  1. どのISPと契約するか
  2. その先,どのサイトに行くか(どこを通るか)
  3. NTT地域IP網を含めた網の混雑

 などが加味され,全体の速度が決まってしまう。

 最初はネットワーク的に近いサーバにアクセスして,比較的安定な速度を測ってみよう。フレッツの開通直後はNTT東日本のテスト用サーバにアクセスすることを勧める。ISPにつなぐ前に,NTT地域IP網内のサーバに接続し「スループット検証」を行えば,「FTTHの生の速度」が分かる。

 「フレッツ・スクウェア インフォメーションサイト」は,各県に1つある地域IP網内のサーバだ。しかし,ほかにもこのサイトの存在理由がある。こうしたサーバがあれば,ユーザーから見て故障時の切り分けがしやすい。地域IP網は無事でもISP側に障害がある場合など,一発で判別できるからだ。ちなみに現在,NTT西日本にはこうしたサービスは見あたらない。

筆者宅 → FTTH → NTT地域IP網 → フレッツ・スクウェア インフォメーションサイト

 筆者の場合は上記の転送速度テスト結果は約6Mbpsだった。公称10Mbpsだから,それほど遅くもないとの印象を持つ。

実際の速度は? ──ISP経由の速度

 では,FTTHの全体的な速度はどうだろう。上記の方法ではインターネットの世界に出ていけない。普通はISPと契約し,地域IP網の先にあるISPに接続するのが一般的な使い方だ。この速度が一番重要だ。

前のページ1 2次のページ