News 2001年4月13日 09:03 PM 更新

わが家のブロードバンド化計画(4)──固定IPを目指してISPを選んでみる(2)

敢えて固定IPを選ぶワケ

 さて,わが家の場合だが,「固定IPで接続できるところ」という条件でISPを探してみた。理由はサーバを作るためだが,大々的に情報発信のWebサイトを立てようとか,メールサーバを自前で運営しようというわけではない。

 仲間内でちょっとした情報共有を行うクローズドなコミュニティサイトを作ること,自宅に置いてあるさまざまなデータ類にいつでもアクセスできるようにすること,自宅のデスクトップPCに外出先や出張先からログオンすること……などが目的だ。

 コミュニティサイトは,仲間内で掲示板やファイル共有などのアプリケーションをWeb上で利用し,情報の共有やコミュニケーションを行うもの。ちまたに溢れるフリーのCGIプログラムを利用するもよし,近く発売される「Office XP」に付属する「SharePoint」などのアプリケーションを使うもよし。後者のような製品を使う場合は,インストールするだけで簡単にサイトを作ることが可能だ。

 同じようなことは各種ポータルサービスのコミュニティサービスを利用すれば,無料で開設することもできる。しかし,自前でやる方が容量やアプリケーション設定の幅広さ,機能の豊富さに勝る。

 ファイルアクセスに関しては,「WebDAV」という仕組みを使うのがいい。Windows用にマイクロソフトが用意しているWebサーバ(Windows 2000ならIIS,Windows 9x/MeならPWS)には,FrontPageエクステンションというモジュールがあり,無料で利用できる。このモジュールをインストールすれば,HTTPの手順を用いて双方向のファイル転送が可能になるのだ。Windowsのファイル共有全体をインターネットに対してオープンにすると,どうしてもセキュリティホールが空きやすい。WebDAVならHTTPで使用するポートさえ空けておけば利用できるので,万が一,パスワードを突破されてもシステム全体に被害が及びにくい(もちろん,ハードディスク全体をWebDAVで共有したらセキュリティもなにもない)。

 デスクトップPCへのリモート接続も便利だ。次期Windowsの「Windows XP」には,標準で「Remote Desktop」という便利な機能が付くことになっているが,それを待たなくても近い機能を「VNC」というフリーソフトウェアで実現可能だ。VNCのサーバプログラムを自宅のPCで動作させておけば,インターネットにアクセス可能などんなコンピュータからでも,自宅のPC画面をリモート操作できるようになる。

 VNCが便利なのは,接続する側のコンピュータを選ばないこと。Windows,Linux,Macintosh,Windows CEなどに専用のクライアントソフトが用意されているほか,Javaクライアントソフトも存在するため,Javaが動作するコンピュータがあれば,基本的にどこからでもリモート操作が可能になる。

選択肢が少ない固定IPサービス

 もっとも,いいことばかりではない。既にセキュリティの問題を挙げたが,一番の問題は,選べるISPが極端に少ないことだ。東京めたりっく通信の場合,高価なSOHO向けの「Advanced ADSL」か,SDSLのサービスを選ぶ必要がある。ISP選択の自由度が高いフレッツ・ADSLでも,僕が加入した時点ではVC-netやアルファネット,NTT-MEなど,ごく一部のISPしか固定IPのサービスを行っていなかった。

 このうち,VC-netとアルファネットは,かなり格安の料金で固定IPアドレスをもらうことができる(独自ドメイン名取得などはできないようだが,個人的に利用するには十分)が,両者ともバックボーン構成が不明だったため,とりあえず除外した。仕事でも使う以上,ある程度の品質は確保したかったからだ。

 NTT-MEの「WAKWAKざんまい」は,バックボーンに関してはあまり問題はなさそうで,かつ固定IPアドレスも月々2000円の追加で利用できる(この料金設定は固定IPアドレスのサービスとして,かなり安価な部類に入る)。しかし,データ転送量に応じて料金が変化するというシステムにどうしても納得ができず,これも見送ることにした。実際には,それほど大量のデータ転送を行うことはないかも知れないが,常時接続で転送量に応じた課金というのは,時代に逆行していると思えたらからだ。

 このため,3月にフレッツ・ADSLがわが家にやってきた時点では,選ぶべきISPが存在しないという事態になってしまった。しかし,フレッツの場合,ISPはいつでも変更することができる。たまたま海外接続用に確保していたAT&T WorldNetが,「手続きなしでフレッツ・ADSLを利用できるようにする」とのアナウンスを行っていたため,とりあえずAT&Tのアカウントで接続することにしたのだ。

 一時的に使用したAT&Tのフレッツ・ADSLは,回線品質が良いのか,ユーザー数が少ないのかは分からないが,非常に快適でテレホーダイタイムでも大きな不満はなく利用できている。また(保証されているわけではないが)利用開始以来,一度もIPアドレスが変わったこともないため,固定のホスト名をもらえないという不便を除けば,一応は目的を果たしつつ,現在に至っている。

NTT-PCの魅力的なSOHO向けADSLサービス

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