News 2001年4月23日 08:32 PM 更新

“しかるべき関係者”に結果を伝える市民投票サイト――日立がVote.comと合弁で

新聞やテレビ報道によれば,自民党総裁選は小泉純一郎候補でほぼ決まりのようだが,あなたの意見は?

 日立製作所は4月23日,電子投票サービスを提供する米Vote.comと合弁会社を設立することで合意した。社名は「VOTEジャパン」。5月10日に設立する。資本金は2億5000万円で,出資比率は日立が52%,Vote.comが48%。VOTEジャパンは,Webサイトに掲載する広告収入のほか,自治体への投票システムのレンタルなどを柱に事業を展開する計画で,2004年には3億円の売上を見込んでいる。

 「日立では電子政府実現に向けた取り組みを行ってきた。VOTEジャパンによって,電子行政ソリューションを提供したい」(日立システムソリューショングループ長の小野功氏)

「メールアドレスを公開してほしい」

 VOTEジャパンでは,時事,社会,芸能ニュースなど話題性の高いものについてネットユーザーの声を募集。賛成/反対の2択で行われる投票結果を「しかるべき関係者」に通達するのが特徴だ。例えば,現在プレオープン中のVOTEジャパンでは自民党総裁選について「小泉純一郎大人気! 小泉人気は首相公選待望論?」と題した投票が行われており,結果は各政党関係者に電子メールで送られるという。

 VOTEジャパンでは,基本的に「結果は電子メールで伝える」というスタンスを取っている。そのため,電子メールアドレスが公開されていない,または非公開の場合は連絡することができない。実際,「ゴールデンウィークに出かけるなら東京ディズニーランドかユニバーサルスタジオジャパンか」という投票コーナーには,「連絡先が見つかりませんでした」と表示されている。VOTEジャパンの横江公美社長は,「その場合はプリントした投票結果をFAXで送る」というが,「ネットユーザーの意見は大事な声。ぜひ窓口を設けてほしい」とも訴える。

 「自民党総裁選の場合など,ある候補者の事務所では当初,“送っていただかなくて結構”と無下に断られたりもした。民主党が4月19日にネット選挙運動を認めるための法案を提出したが,国民の声を広く拾うためにインターネットをどんどん活用してもらいたい」(横江社長)

影響力を増すネットコミュニティ

 「電子投票」というテーマを扱っているだけに,質疑応答では,全国紙記者や通信社の記者から厳しい質問が相次いだ。例えば,「賛成か反対しかない2択では世論の誘導になるでは」といった指摘や,Vote.comの“Eデモクラシーの実現を目指す”というビジョンに対して,「投票結果が何らかの実質的な効力を持たなければ,Eデモクラシーとはいえないのではないか」や「日立が行政や政治に介入するつもりか」といったふうだ。中には,「同じ人間が1万回も100万回も投票できるのではないか」という初歩的な質問も。なお,日立によれば1台のPCから連続して投票することはできないという。

 ネットコミュニティーの意見は,どんどん影響力を増している。VOTEジャパンのように,関係者に投票結果が報告されるものはもちろんだが,インターネット視聴率調査を行っている日本リサーチセンターでは掲示板サイトの「2ちゃんねる」を引き合いに出しながら,「政治家や経営者が血眼になって掲示板を読み,“便所の落書き”が社会を動かす時代が目の前に来ているのかもしれない」と指摘している。Vote.comのDick Morris社長がいうような直接民主主義によるEデモクラシーはすぐに実現できるものではないが,草の根的な“オンライン市民運動”は今後も活発化していくことは間違いない。

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▼ VOTEジャパン

[中村琢磨, ITmedia]

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