News | 2001年8月6日 11:37 PM 更新 |
松下電器によると,一カ月にビデオカメラを利用する回数は,わずか2回以下というユーザーが大半を占めてるという。月4回以上使うユーザーは全体の15%程度しかいない。結局,月2回しか使わないモノに20万前後の金額を支払うユーザーというのは「子供の成長記録を撮影したいと思う,親ぐらいしかいない」(同社)。
「子供の成長記録」や「旅行」が使用目的の上位を占めるビデオカメラに対し,デジカメは「ハガキに使用」「写真にプリント」「電子メール」「仕事」などビデオカメラとは違う用途でニーズがあり,需要も伸びている。
ところがDVカメラもデジカメも,撮像素子にCCDを使って映像をデジタル記録するという点では共通だ。ならば,DVカメラでデジカメを包括できるはず。DVカメラに静止画撮影はもはや標準的な機能となっているし,デジカメに動画撮影機能というのも,さして珍しくなくなった。
画素数の点では,高画素化が進んでいる3〜4メガピクセルデジカメと比べると,DVカメラの静止画は見劣りするが,ファミリーユースやメール添付,ホームページ素材として扱う点においてはメガピクセルで必要十分な解像度は得られる。DVカメラとデジカメの垣根は,実はなくなっているのだ。
最後に残る問題は,ボディサイズだ。DVカメラは,66×48×12.2ミリのミニDVテープを使用している以上,小型軽量化には限界がある。一方デジカメは,24×32×2.1ミリという切手サイズのSDカードを筆頭にスマートメディア,コンパクトフラッシュ,メモリースティックなど小型の記録メディアを利用する。小さくて軽い製品が実現でき,数メガピクセル機で200グラムを切る製品も登場している。
そこで松下は,小型化の障壁となっているDVユニット部を着脱式にしたわけだ。これによって,DVユニットを装着した際は通常のDVカメラとして利用できるが,カメラ部だけを取り外し,MPEG-4ムービーカメラ&108万画素静止画デジタルカメラとしても使用できる。「DVカメラを買うと,もれなくデジカメがついてきます」的な発想で,頭打ち状態のビデオカメラ需要を喚起しようとしたのである。
いかにもAV機器に強い松下らしいやり方である。もっとも,コンセプトは評価できるが,どうせ着脱式にするのなら,デジカメにしたときのサイズをもっと小さく,軽くしてもらいたかったとは,欲張りすぎか。しかし,345グラムのボディは,軽量化が進むデジカメの世界では決して軽くはない。
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ビデオ部から着脱した状態。デジカメとしては,もう少し小型軽量を望みたい |
蛇足だが,松下電器が発表した今回のDVカメラ新製品は,分離するとメガピクセルの“デジカメ”になる。さらに,レンズは“Leica”を採用している。ということは,先日発表した(7月24日の記事参照)Leicaレンズ搭載デジカメの第1号機か!という点が気になってくる。しかし,同社によれば「今回の新製品は“SDムービーカメラ”に変わるのであって,(正式な)デジカメではない。Leicaとの協業によるデジカメ第1号機は,今年の秋に発表される新製品から」だそうだ。
主な仕様は,以下の通り。
製品名 | ネットワーク2WAYデジカム NV-EX21 |
撮像素子 | 102万画素CCD |
記録画素数 | 静止画:1200×900/640×480ピクセル,動画:176×144ピクセル |
記録方式 | 静止画:JPEG,動画:MPEG-4 |
録画方式 | MiniDV方式 |
記録メディア | SDメモリーカード,マルチメディアカード |
レンズ | 3.55〜35.5mm(35mm換算で34〜340mm),F1.8 |
ズーム | 光学10倍,デジタル25倍,スーパーデジタル100倍 |
ホワイトバランス | 自動追尾ホワイトバランス |
ファインダー | 電子カラービューファインダー(11.3万画素) |
液晶モニタ | 2.5型TFTカラー液晶(20万画素) |
インタフェース | USB/IEEE 1394/マイク端子 |
電源 | リチウムイオン充電池(静止画約300枚,動画約1時間の撮影が可能) |
サイズ | 50(幅)×115(高さ)×106(奥行き)ミリ |
サイズ(SDムービーカメラ時) | 52(幅)×77(高さ)×106(奥行き)ミリ |
重さ | 約490グラム(電池込みで約555グラム) |
重さ(SDムービーカメラ時) | 約300グラム(電池込みで約345グラム) |
価格 | 20万5000円 |
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