News 2001年9月13日 11:13 PM 更新

オリンパスの「C-40ZOOM」は,小さいだけじゃない?(2)

「高画素・高画質を追求するしかない」

 発表会場でオリンパス執行役員の小島佑介氏は「プリント」に対する熱意を語った。「特に,大学生や主婦層では,撮影した画像をプリントアウトしたいというニーズが多い」(同氏)。

 そのため,C-40ZOOMには,プリント拡大機能が搭載されている。出力時の解像度は768万画素を選択できる。「デジタルカメラの性能の差は,プリントアウトしたときにはっきりと分かる。これからも,性能向上のために,開発者の拡充を図っていく計画だ」(小島氏)。

 ただ,実際のところ,プリントアウトの需要がどの程度あるのか,その規模は不明だ。デジタルカメラの用途は,画像を友人にメールしたり,CD-Rに焼いたりなど,データのままやり取りされることが多い。200万画素クラスのデジタルカメラが売れ筋なのも,ディスプレイで見る分には,その程度の画質でまったく問題ないという判断からだろう。

 もちろん,オリンパスでもこのような傾向は把握している。「プリントしたいというユーザーは,銀塩カメラから入ってきた人に多い。デジタルカメラは,用途が分散化していることから,現像する必要がある銀塩カメラとは異なり,必ずプリントされるわけではない」。

 では,あくまで高画素・高画質を求める理由はどこにあるのだろうか?

 「カメラメーカーとして,カメラの性能を追求していくのは,宿命のようなもの。それが,他社との差別化にも繋がる。ただ,そうなると,性能を十分に活かせるプリントという用途を訴求していくしかない。当然,その市場を拡大させていくのが役目だと思っている」(オリンパス)。

 また同社の菊川剛社長は,「1997年に140万画素のC-1400Lを発売したときも,“140万画素など不要だ”と批判されたが,1998年3月には230億円の売り上げを記録。オリンパスの大黒柱となった」と高画質・高画素化の必要性を説いた。

 一方で,製品発表会にいたオリンパスの説明員は,こっそり「エントリーモデルとしては,CAMEDIA C-2がある。ただ,画素数を下げれば,C-40ZOOMをエントリーモデルとして売り出すことも可能だ。検討していないわけでもない」と話してくれた。

 これをジレンマと呼んでは大げさかもしれない。だが,“わが道”を行くには,時には譲歩することも必要なのだろう。

 なお,C-40ZOMMの詳細スペックは以下の通りだ。

製品名 CAMEDIA C-40ZOOM
撮像素子 1/1.8型413万画素CCD(有効395万画素)
記録画像サイズ 3200×2400/2816×2112/2560×1920/2288×1712/2048×1536/1600×1200/1280×960/1024×768/640×480ピクセル
記録方式 静止画:TIFF,JPEG/動画:MotionJPEG
レンズ 7.25〜20.3mm(35mmカメラ換算35〜98mm相当),F2.8〜4.8
デジタルズーム 最大2.5倍(光学ズームと合わせて最大7.0倍)
露出制御 プログラム自動露出,絞り優先露出,シャッター優先露出,マニュアル露出補正
フォーカス TTL方式iESPオートフォーカス(コントラスト検出方式),マニュアル
ファインダー 実像式(視度調節付き)
液晶ディスプレイ 1.8型低温ポリシリコンTFT
記録メディア スマートメディア
インタフェース USB(ストレージクラス対応)
電源 リチウム電池パック(CR-V3)×1,単3形×2(ニッケル水素,リチウム,ニカド,アルカリ)
サイズ 87(幅)×43.5(奥行き)×68.5(高さ)ミリ
重さ 190グラム(電池とカード別)
価格 9万9800円

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[中村琢磨, ITmedia]