News 2001年10月2日 11:55 PM 更新

CEATEC JAPAN 2001――「見所」をチェックする(1)

CEATECでは事前の予想通り,有機ELディスプレイやホームネットワーク関連の展示が面白かった。いずれも,プロトタイプ的なものではなく,かなり製品化が近そうと思えるものが多かったのが特徴。その中で,特に見所といえそうな製品をピックアップすると――。

 千葉・幕張メッセで10月2日,「CEATEC JAPAN 2001」が開幕した。

 このCEATEC JAPANは,幕張メッセでHall1〜11までの全ホールを使用する大規模な複合展示会だが,元々は「COM JAPAN」と「エレクトロニクスショー」の統合により生まれているだけに,見所の多いのはやはり通信・AV関連だ。実際,会場では有機ELディスプレイ,DVR-Blue,ホームネットワーク,携帯電話などが大きな注目を集めていた。

黒山の人だかり──有機ELディスプレイ

 IT関連の展示会ではこれまでにもよく見かけた有機ELディスプレイだが,CEATEC JAPAN 2001の会場では,出展数も多く,製品のバラエティも富んでいる。さらに,最終製品に近そうな展示も多かったことで,特に注目を集めていた。

 ソニーは,13型のフルカラー有機ELディスプレイを参考出展。これは,今年2月7日に技術発表が行われたものだが,同社では計画通り,2003年中の製品化を予定しているという。解像度は,800×600ピクセル,輝度は300カンデラ以上とされている。


大勢の来場者に囲まれるソニーの有機EL担当者。この日,出井伸之会長も陣中見舞いに訪れた

 同ブースは,開場時間中ほとんど人だかりが途絶えず,はじめて13型の有機ELディスプレイを見たというある来場者は,「有機ELでこんなに大きいのもできるんだ。それにしても,鮮やかですよね」と感嘆の声を漏らしていた。さらに,有機ELの視野角の広さをカメラに収めようと,真横から撮影を試みる人もいたほどだ。

 また,有機ELの展示では三洋電機のブースも人気だった。同社の有機ELディスプレイの展示は,これまで比較的パネル単体のものが多かったが,今回は,有機ELディスプレイを組み込んだワイヤレステレビなど,最終製品と思われるものを中心に出展している。「来年の製品出荷を予定している」(三洋)こともあり,開発が順調に進んでいることをアピールする狙いがあるのだろう。


有機ELディスプレイ採用のワイヤレステレビ。画面サイズは5.5型(320×240ピクセル)。手前にあるのが,ワイヤレスのクレードル。チューナーはこちらに内蔵される

ホームネットワーク時代のインタフェース?

 ホームネットワーク関連も,各社が力を入れて取り組んでいる分野だ。

 日立製作所では,エコーネットなどで接続されたデジタル家電をコントロールする“実世界志向型”のインタフェースを紹介している。実世界志向というのは,例えば,エアコンの操作を行う際に,専用のリモコンを上に動かすと設定温度が上昇し,下に向ければ設定温度が下がるといった具合。


エアコンにレーザーポインタを向けると,その横に吹き出しのような格好で仮想のコントロールパネルが表示される


「文脈操作」の説明。冷蔵庫の中身をテレビ画面に“ドラッグ&ドロップ”できるという

 冷蔵庫の例でこのインタフェースの仕組みを説明すると,次のようになる。レーザーポインタを冷蔵庫に向けると,監視カメラがそれを認識し,PCに冷蔵庫の中身を表示するよう命令する。PCからは,プロジェクタにデータが送られ,壁に冷蔵庫の中身一覧が映し出される。


この実世界指向インタフェースを開発しているのは,日立デザイン研究所プロダクトデザイン部の丸山幸伸研究員。「ボタンのないPDA」を担当したのもこの人である

 なお,レーザーが照射されている対象物については,監視カメラがあらかじめ設定した座標位置から割り出すため,家電側に特別なインタフェースを組み込む必要はないという。

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