News:速攻レビュー | 2001年11月30日 07:13 PM 更新 |
6月のCOMPUTEX TAIPEI 2001で衝撃的なデビューを飾ったNVIDIA社のnForceチップセット。実際の登場が待望されていた同製品を搭載したマザーボードが,NVIDIAの戦略パートナーであるMSI(Micro Star International)から,いよいよ登場した。
結論を先に言えば,このマザーボード――「MSI K7N420 Pro」は,単なるオールインワン・マザーボードではなく,PCシステムのコストパフォーマンスの概念を揺さぶるだけの力を持った製品だった。
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「MSI K7N420 Pro」の全体。コンパクトだが高い実力を秘めている(拡大画像) |
このマザーの最大の特徴は,注目の新チップセット,NVIDIA社のnForce(エンフォース)チップセットを搭載した点である。
nForceはNVIDIA社初のチップセットであり,また実質上初となる“高性能なビデオ機能”を搭載した統合型チップセットとしても,大きな注目を集める製品だ。
nForceシリーズには,ノースブリッジチップにあたる「IGP」(Integrated Graphics Processor)と,サウスブリッジチップにあたる「MCP」(Media and Communications Processor)で,それぞれ2種類が用意されている。このマザーに搭載されているのは,どちらも高性能品で構成されるハイエンド版だ。
なお,それぞれの性能の区別を簡単に説明すると,IGPの2種は,メモリコントローラの性能差,MCPの2種の差は内蔵サウンド機能の性能差である。
低価格版の「IGP64」では,基本的なDDR SDRAMに対応した64ビットのメモリコントローラを搭載する。対して高性能版の「IGP128」では,DDR SDRAM DIMMを2枚使うことで,理論上2倍(PC2100 DIMMの場合は4.2GB/秒)のバンド幅を実現する128ビットメモリコントローラを備える(NVIDIAでは,“TwinBank Memory Architecture”と呼称している)。
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ノースブリッジにあたるIGP。これは128ビット版の「IGP128」(拡大画像) |
128ビットコントローラといっても,名称のとおり別のメモリバンクとして設定されているため,それぞれのメモリコントローラに異なる容量のメモリを装着しても使用できる。この点は,従来の同種の技術(メモリバンクインターリーブなど)ではあまり見られなかった特徴だ。
nForceは発表時より最速チップセットとして期待されていたが,その理由となるのがこのTwinBankと,IGPに搭載されたCPU命令キャッシュ“DASP”(Dynamic Adaptive Speculative Pre-prosessor),そしてIGP-MCPチップ間のHyperTransport(AMD開発の高速シリアルバス)接続という,3つの新技術の搭載だ。
なお,双方とも搭載されているビデオ機能については同じものとなり,GeForce2を元にしたコアが搭載されている。ただし,メモリ速度と実際の性能の関係から“GeForce2 MX相当”と表記されることが多い。
また,回路としては同じだが,実際の速度に関しては,メモリ転送速度の関係より,IGP128が大きく勝る。
対してMCPは,ドルビーデジタルデコーダを搭載した高級版「MCP-D」,ドルビーデジタルデコーダを搭載しない普及版の「MCP」が用意される。
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ドルビーデジタルデコーダ搭載の「MCP-D」。チップにもそのロゴマークが見える(拡大画像) |
なお,実際の製品名としては,IGP64を搭載したものを「nForce 220」,IGP128を搭載したものを「nForce 420」と呼ぶ。また,MCP-Dを搭載したものは,この末尾に「D」を付加する。
本機に搭載されたのは,ハイエンド構成となる「nForce 420D」だ。これはIGP128とMCP-Dというコンビネーションである。
マザーボード製品としてのK7N420 Proは,MSI初(そして単体マザーボードとしては世界初)のnForce搭載製品として,ベーシックな設計のものとなっている。